日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
Cyclophosphamide大量静注により急性増悪を阻止した特発性間質性肺炎の1例
広畑 俊成石坂 信和高藤 繁林 道夫奥平 博一宮本 昭正
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 12 巻 6 号 p. 663-667

詳細
抄録

Cyclophosphamideの静注により急性増悪を阻止した特発性間質性肺炎の1症例を報告する.症例は70歳女性.昭和60年12月感冒様症状に続き呼吸困難出現.近医にて肺線維症と診断され,昭和61年2月よりプレドニン開始し軽快. 3月減量により悪化し, 4月15日当科へ転院.両肺野のベルクロ音・胸部X線・呼吸機能検査などにより増悪と判断し,プレドニン60mg/日と増量し,呼吸困難の軽快と動脈血ガスの改善をみた.その後プレドニンを45mg/日まで減量し,急激に呼吸困難の増悪・PaO2の低下出現. Cyclophosphamide 400mgの点滴静注施行し,翌日には呼吸困難消失し, PaO2の上昇もみられた.その後さらにプレドニンを40mg/日まで減量した時点で再び急性増悪を生じ, cyclophosphamide 500mgの点滴静注施行し改善を認めた.本例では, cyclophosphamideの点滴静注が根底にある間質性肺病変の進行を阻止しえなかったものの,その急性増悪に対しては著効を示したと考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top