日本臨床免疫学会会誌
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経過中に血栓性血小板減少性紫斑病を併発した膠原病の2症例
上阪 等窪田 哲朗立石 睦人奥田 正治青木 延雄西戸 孝昭宮坂 信之
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1990 年 13 巻 1 号 p. 94-101

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抄録

経過中に血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を併発した膠原病2例を経験した. 1例目は41歳女性, 5年前に多発性筋炎を発症,問質性肺炎を合併し, prednisolone(PSL)とmethotrexate(MTX)の投与を受けていたが,昭和63年3月,呼吸困難と咳嗽のため入院となった.入院時,血小板減少を認め,次いで破砕赤血球を伴う溶血性貧血,蛋白尿,心電図上一過性の心筋虚血が出現,さらに一過性脳虚血発作を生じTTPと診断された. 2例目は35歳の女性で, 10年前シェーグレン症候群を発症,発熱,関節痛,レイノー現象のためPSLを投与されていた.昭和63年5月より,指尖潰瘍,血小板減少,貧血を生じ入院となった.入院時,蛋白尿と下肢の知覚低下を認め,さらに,破砕赤血球が出現しTTPと診断した.両者ともTTPの診断前にグルココルチコイドを増量したが反応せず,新鮮凍結血漿(FFP)と抗血小板薬の投与が奏功した.以上より膠原病に併発したTTPでもグルココルチコイド増量で反応がえられないとき,すみやかに新鮮凍結血漿と抗血小板薬の併用を試みるべきであると考える.

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