日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
13 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 東 威
    1990 年13 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 飯島 眞悟, 岸上 義房, 西成田 進, 澤田 滋正, 堀江 孝至
    1990 年13 巻1 号 p. 9-17
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    重症SLE患者15症例にステロイドパルス療法を施行し, 10例に臨床効果を認めた.
    15症例を病型別に分類し,効果判定を行うと, CNSループスで神経症状主体のもの9症例中6例,ループス腎炎は3症例中2例に,血管炎の1例,その他の1例に臨床効果が得られたが, CNSループスのうち精神症状を呈するものは3例とも改善がみられなかった.
    パルス療法前の末梢白血球数平均値は4,200/mm3,終了後4週以内に7,050/mm3で有意(p<0.005)に増加し,異常低値が認められた症例は,全例で改善が認められたが,抗核抗体価の改善率は13症例中2例,血清補体価の改善率も13症例中2例でともに低く,臨床効果とは相関がみられなかった.
    パルス療法後16週間にわたる観察では,抗核抗体価,血清補体価の改善率は増加した。副作用は, 15症例中3例に感染症の合併がみられ,そのうち1例は糖尿病,高血圧の合併もみられた.
  • 山内 保生, 長沢 浩平, 豊島 元, 真弓 武仁, 石井 善智, 多田 芳史, 塚本 浩, 仁保 喜之
    1990 年13 巻1 号 p. 18-25
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当科の全身性エリテマトーデス(以下SLE)142例を診断時年齢により, 20歳未満の若年群27例, 20歳以上40歳未満の好発年齢群91例, 40歳以上の高齢群24例の3群に分け,臨床症状,予後,とくにこれまで報告の少ない合併症についてretrospectiveに検討した.従来の報告どおり,蝶形紅斑,口腔潰瘍,発熱,腎症,とくにネフローゼ症候群を呈する症例が若年群に多かった.しかし,今までの報告と異なり漿膜炎,とくに心膜炎の頻度が若年群に有意に多くみられた.検査成績でも,若年群は従来報告されているように,低補体の頻度,抗DNA抗体の陽性率が高く,治療でも大量のステロイド剤を必要とする傾向にあり,パルス療 法,免疫抑制剤の併用率も高かった.
    合併症では大腿骨頭壊死が有意に若年群に多く,若年発症は危険因子の1つと考えられた.一方,帯状疱疹,血栓症は各群ともほぼ同じ頻度で合併しており,年齢との関係はみられなかった.
    若年群は予後も不良であり,若年発症は予後不良因子と考えられた.一方,今回の検討では高齢群に大きな特徴はみられなかった.
  • 岡田 隆
    1990 年13 巻1 号 p. 26-37
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最近,自己抗体の多くがconventional B細胞とは異なるLy-1 (CD 5) B細胞系に由来していることが示唆されている.今回,われわれは全身性エリテマトーデス(SLE)を自然発症するNZB×NZW(B/W) F1マウスを用いて, IgMならびにIgGクラス抗DNA抗体産生B細胞の細胞表面形質をLy-1抗原と,われわれが発見した新しいB細胞分化抗原Lp-3について検討してみた.その結果,生後早期に出現するIgM抗体産生B細胞はLy-1+, Lp-3-, IgM+であるのに対し,生後6~7ヵ月ころより出現するIgG抗体産生B細胞はLy-1-, Lp-3+, IgG+であり,まったくその細胞表面形質が異なっていた.一方, 6ヵ月から7ヵ月齢にかけてlgG+Lp-3+B細胞は増加したが,逆にLy-1 B細胞は著明に減少することが明らかになった.腹腔中のB細胞は加齢に関係なく大多数がLy-1+, Lp-3+, IgM+であり,しかもほとんど抗DNA抗体を産生しなかった.以上の成績をもとに, IgMならびにIgGクラス抗DNA抗体産生の由来および両者の関係について考察を行った.
  • veto細胞およびnatural suppressor細胞としてのLAK細胞の応用
    東 英一, 駒田 美弘, 桜井 実
    1990 年13 巻1 号 p. 38-42
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    lymphokine-activated killer (LAK)細胞はin vitroおよびin vivoで抗腫瘍効果があることが報告されている.最近,われわれはLAK細胞がmixed lymphocyte culture(MLC)でalloantigen-specific cytotoxic T-lymphocyte (allo-CTL)の増殖を強力に抑制することを発見しLAK細胞は免疫調節細胞(Immunoregulatory cell)としての機能もあることがわかった. allo-CTLの抑制機構については, LAK細胞のveto細胞およびnatural suppressor (NS)細胞としての活性によるものと考えている.このLAK細胞をin vivoで養子移植したところgraft-versus-host disease (GVHD)の発症が著明に抑制された.
  • 予後予測因子の検討
    湯原 孝典, 坂内 通宏, 竹村 博之, 松村 高幸, 山根 一秀, 柏木 平八郎
    1990 年13 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    感染症合併時の全身性エリテマトーデス(SLE)の予後を予測するうえで参考となる知見を得るために, SLEに合併した感染症が治癒した群(治癒群)と感染症合併後に死亡した群(死亡群)における諸検査所見を比較検討した.対象は, 1976年から1986年までに筑波大学附属病院に入院した121名のSLE患者で, SLEの活動期に合併した細菌,真菌または原虫感染症26例であった(ウイルス感染症は除外した).死亡群には,敗血症や肺炎などの重篤な感染症が多かった.さらに,死亡群には感染症合併時に血清補体価の低下傾向や白血球減少を呈する症例が多かった.これらの補体や白血球の変動は,活動期のSLEと重篤な感染症のいずれでも出現しうるものである.したがって,感染症を合併したSLEの活動性の評価には注意を要するものと考えられた.また,補体や白血球の変動は予後を予測するための指標の1つになるものと考えられた.
  • Raji cell法,抗C3法, C 1 q固相法による測定
    東名 正幸
    1990 年13 巻1 号 p. 49-56
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)患者11例に対し,血漿交換療法(PP)を施行し,臨床所見の変化を観察するとともに血中免疫複合体(CIC)を原理の異なる3法で測定し, PPのモニタリングとしての有用性を検討した. PPは二重膜濾過法にて行い, 1回の血漿処理量を2,000mlとし,これを週1回,計4回施行した. CICはRaji cell法(RJC),抗C3法(AC 3), C l q固相法(C l q SA)の3法で測定した. AC 3法陽性例とRJC法陽性例でPP施行後4週まで, C l q SA法陽性例で1週まで有意にCICの低下を認めた.また, AC3法陽性例では, PP施行後8週までCICの有意の低下とともに, Lansbury indexの有意の改善が認められた.しかし, RJC法陽性例, C l q SA法陽性例ではCICの低下とLansbury indexの改善に関連性はみられなかった.したがって, RAに対するPPのモニタリングとして3法の中ではAC 3法が最も有用と考えられた.
  • 山村 義治, 加藤 治樹, 谷川 真理, 井上 衛, 佐野 統, 金 龍起, 杉野 成, 近藤 元治
    1990 年13 巻1 号 p. 57-64
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    OK-432およびNocardia rubs cell wall skeleton (N-CWS)のマウス腹腔内(i. p.)投与により誘導された好中球の抗腫瘍活性を51Cr releasing assayにより検討した.マウスはC3H/He〓8~10週齢, target cellとしてMM 46を用いた. OK-432およびN-CWS誘導好中球は,それ単独ではコントロール(カゼイン誘導好中球)と比較しても抗腫瘍活性は得られなかった. OK-432誘導好中球とN-CWS誘導好中球にin vitroでさらにOK-432, N-CWSを添加した場合,好中球誘導がいずれであってもN-CWSを添加したときに, 80%以上のcytolysisが得られたが, OK-432の添加では,このような効果はみられなかった.このN-CWS添加による抗腫瘍活性増強効果は, E/T比0.7から50までに認められ, N-CWS濃度10μg/mlから100μg/mlまでにみられた.これらの結果より, OK-432の腹腔内投与により誘導された好中球の抗腫瘍活性が, N-CWSの併用により増強されることが示唆された.
  • 池田 弘, 松浦 一陽, 岩崎 良章, 能祖 一裕, 高口 浩一, 澤原 正彦, 高橋 健二, 山吹 隆寛, 辻 孝夫
    1990 年13 巻1 号 p. 65-71
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ELISA法によりHBs抗原サブタイプ特異的抗原を定量測定し,その臨床的意義を検討した.サブタイプの頻度は,無症候性キャリア(ASC)〔平均年齢18歳〕で, 91例中adr 74.7%, adw 19.8%, ayw 2.2%, adwr 3.3%で, B型慢性肝炎(CH)〔33歳〕では, 91例中adr 96.7%, adw 1.1%, adyr 1.1%, adwr 1.1%と, CHでadwの頻度が低かった. ASCでのHBe抗体陽性の頻度は, adr群52.9%に比べ, adwでは77.8%と高かった. adrのCHの5.7%において急性増悪時S-GPTのピーク前, DNA-P, HBV-pAR活性, HBs抗原量の変化に一致してサブタイプがadrからadwrへ変化したが, ASCでも3.3%にadwrが認められた,サブタイプadwは, adrに比べ若年のうちにHBe抗体陽性になりやすく予後がよいこと, compoundサブタイプadwrは低頻度で,急性増悪時HBVの量の変化に伴って出現するが,必ずしもS-GPT値異常と密接に関係しているわけではないことが示唆された.
  • 野間 剛, 檀谷 尚宏, 渋谷 温, 前田 和一
    1990 年13 巻1 号 p. 72-79
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は4歳8ヵ月男児.生後3ヵ月ころより咳漱,鼻汁が持続していたが, 6ヵ月時pneumocystis carinii肺炎に罹患し当科で加療された.肺炎は軽快したが, Bリンパ球の欠陥を伴うcommon variable immunodeficien-cy (IgG 58mg/dl, IgA 41mg/dl, IgM 109mg/dl)と診断され,免疫グロブリンの置換療法を受けていた.このころより好中球の比率は約5%と低下を示したが,感染を繰り返すことはなかった.今回(4歳)肛門周囲の膿瘍に気づき当科受診した.培養でstreptococcus agalactiaeとpeptostreptococcusが検出され,抗生剤とST合剤にて治療されたが,著しい改善傾向を認めなかった.
    CRP 0.4mg/dl, ESR 26 (1°)と急性期反応は陽性を示し, WBC 7,200/μl(好中球5%)であった.免疫グロブリン値は,置換療法中でIgG 318mg/dl, IgA 30mg/dl, IgM 751mg/dlであった. T・B細胞比およびPHA芽球化反応は正常であったがCD 4/8比は0.76と低下していた.補体系は正常だった.好中球機能は走化能,貧食能,殺菌能とも正常範囲内であった.骨髄では好中球系細胞比率は18.2%と低下を示し,骨髄球でピーク(8.8%)を示した. M/E比は0.75. CFU-GMは488/105細胞と活性の増加を示したが, CFU-Eは2.7/5×104細胞と活性は低下していた.エピネフリン負荷テストは無反応であったが,プレドニン負荷テストでは末血の好中球数は約10倍に増加した.抗生剤とST合剤にて治療されたが,改善傾向を認めなかったのでrG-CSF 2μg/kgを1週間連続投与(静注)したところ,肛門九時にあった直径5~7mmの潰瘍性膿瘍は周囲の発赤ともども消失した.末血好中球数に大きな変化を認めなかったが後骨髄球の出現が認められた(1%).また骨髄のCFU-GM, CFU-Eには大きな変化は認めなかった(576/105, 3.6/5×104)が,骨髄好中球の比率は32.8%と増加し,骨髄球(10.2%)と粁状球(11.0%)で2峰性のピークを示した.以上から本症例の好中球減少は,骨髄での成熟過程の障害による可能性が示唆され, rG-CSFによってその障害が改善されると考えられた.
  • 有森 茂, 吉田 美代子, 市村 香
    1990 年13 巻1 号 p. 80-86
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Ge-132, 1, 500mg per day, was administered to 47 y-o house wife who suffered from rheumatoid arthritis associated with Sjögren's syndrome and microcytic hypochromic anemia since 1983. Her clinical stage of rheumatoid arthritis was Stage II and class was 1. Polyarth-ralgia and joint swelling were getting worse even though she was administered both non-steroidal antiinflammatory drug and small dose of prednisolone. Treatment with Ge-132 brought her in a remission state of rheumatoid arthritis and MCV and MCH as well as Hb were improved within 5 months. Two-color flow cytometry of peripheral lymphocytes demonstrated an increase of lymphocyte, CD3-, CD21+ (B cell), CD3+, CD21- (T cell), CD4-, CD8+ (suppressor T cell), CD4+, CD8- (helper T cell), CD16+, DR- (NK cell) and all of double negative cells such as CD3-, CD21- cell, CD4-, C8- cell, and CD16-, DR-cell, parallel to clinical status.
    These data surely indicated that Ge-132 is effective to this patient.
  • 武田 智, 星 智
    1990 年13 巻1 号 p. 87-93
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    多発性筋炎や原発性胆汁性肝硬変は共に自己免疫疾患である.無症候性原発性胆汁性肝硬変を合併し, CK結合性免疫グロブリン(lgA-λ)を認めた多発性筋炎の1例を経験したので報告する.症例は44歳主婦, 40歳より四肢筋力低下, 42歳より肝機能障害で某病院で加療中.昭和63年12月当院初診.近位筋筋力低下, CK,アルドラーゼ高値,筋電図で近位筋筋原性変化を認め,多発性筋炎と診断.また抗ミトコンドリア抗体は320倍以上と強陽性.肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎の組織像を呈する,黄疸や皮膚〓痒感なく無症候性原発性胆汁性肝硬変と診断,両者の合併と考えた. CKアイソザイムで電気泳動パターン上MBとMMの中間に異常バンドを認め,酵素免疫泳動像にてCKにIgA-λの結合が証明された. Prednisolone 50mg/日で加療,徐々に筋力の改善が認められた.多発性筋炎と原発性胆汁性肝硬変の合併の詳細な報告例は少なく,かつCK結合性免疫グロブリン(lgA-λ)の存在も認められ,興味深い症例と考えられた.
  • 上阪 等, 窪田 哲朗, 立石 睦人, 奥田 正治, 青木 延雄, 西戸 孝昭, 宮坂 信之
    1990 年13 巻1 号 p. 94-101
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    経過中に血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を併発した膠原病2例を経験した. 1例目は41歳女性, 5年前に多発性筋炎を発症,問質性肺炎を合併し, prednisolone(PSL)とmethotrexate(MTX)の投与を受けていたが,昭和63年3月,呼吸困難と咳嗽のため入院となった.入院時,血小板減少を認め,次いで破砕赤血球を伴う溶血性貧血,蛋白尿,心電図上一過性の心筋虚血が出現,さらに一過性脳虚血発作を生じTTPと診断された. 2例目は35歳の女性で, 10年前シェーグレン症候群を発症,発熱,関節痛,レイノー現象のためPSLを投与されていた.昭和63年5月より,指尖潰瘍,血小板減少,貧血を生じ入院となった.入院時,蛋白尿と下肢の知覚低下を認め,さらに,破砕赤血球が出現しTTPと診断した.両者ともTTPの診断前にグルココルチコイドを増量したが反応せず,新鮮凍結血漿(FFP)と抗血小板薬の投与が奏功した.以上より膠原病に併発したTTPでもグルココルチコイド増量で反応がえられないとき,すみやかに新鮮凍結血漿と抗血小板薬の併用を試みるべきであると考える.
feedback
Top