日本臨床免疫学会会誌
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無症候性原発性胆汁性肝硬変を合併しCK結合性免疫グロブリン(IgA-λ)を認めた多発性筋炎の1例
武田 智星 智
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1990 年 13 巻 1 号 p. 87-93

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抄録

多発性筋炎や原発性胆汁性肝硬変は共に自己免疫疾患である.無症候性原発性胆汁性肝硬変を合併し, CK結合性免疫グロブリン(lgA-λ)を認めた多発性筋炎の1例を経験したので報告する.症例は44歳主婦, 40歳より四肢筋力低下, 42歳より肝機能障害で某病院で加療中.昭和63年12月当院初診.近位筋筋力低下, CK,アルドラーゼ高値,筋電図で近位筋筋原性変化を認め,多発性筋炎と診断.また抗ミトコンドリア抗体は320倍以上と強陽性.肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎の組織像を呈する,黄疸や皮膚〓痒感なく無症候性原発性胆汁性肝硬変と診断,両者の合併と考えた. CKアイソザイムで電気泳動パターン上MBとMMの中間に異常バンドを認め,酵素免疫泳動像にてCKにIgA-λの結合が証明された. Prednisolone 50mg/日で加療,徐々に筋力の改善が認められた.多発性筋炎と原発性胆汁性肝硬変の合併の詳細な報告例は少なく,かつCK結合性免疫グロブリン(lgA-λ)の存在も認められ,興味深い症例と考えられた.

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