抄録
本邦における腎移植患者の悪性腫瘍の発生について,全国の腎移植を行っている施設にアンケート調査を行ったところ, 1988年9月までに55例の悪性腫瘍を集計した.そこで移植患者の悪性腫瘍の発生と免疫抑制剤投与による生体防御機構の低下とのかかわりを検索するために,教室において腎移植を施行し3年以上移植腎が生着している患者の末梢血リンパ球のNK活性とrIL-2により誘導したLAK活性を測定した.腎移植患者のNK活性, LAK活性は,健常人および胃癌患者より有意に低下していた.免疫抑制剤の中ではAzathioprine投与群は非投与群に比べてNK活性・LAK活性は有意に低下していた. Prednisoloneは投与量の多いほど, NK活性・LAK活性の抑制がみられた.しかしCyclosporine投与群ではNK活性・LAK活性の低下は軽度で,腎移植後の免疫抑制剤の中でCyclosporineは効果的な免疫抑制作用を有するとともに生体防御機能の抑制は小さいと思われる.