日本臨床免疫学会会誌
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13 巻, 3 号
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  • 堀内 篤, 蓑田 正豪
    1990 年13 巻3 号 p. 197-208
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 佐川 恵一
    1990 年13 巻3 号 p. 209-219
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    MCTD患者血清から分離した精製抗nRNP抗体あるいはそのF (ab')2画分の健常ヒト末梢リンパ球への結合を, FITC標識抗ヒトIgGまたはlgG F (ab')2抗体とPE標識抗Leu 1抗体による二重染色法によりflow cytometryで検討した.
    精製抗nRNP IgGは非T細胞,主としてB細胞に結合し,その結合は蛋白濃度に依存して増加した.抗nRNP IgG F (ab')2画分は,非T細胞に結合しなかった.また,リンパ球のFc receptorをウサギ変性IgGでblockすると,抗nRNP IgGのリンパ球への結合は認められなくなった.
    これらの成績から,抗nRNP IgGは抗体分子のFc部分により非T細胞,主としてB細胞のFc receptorに結合すると考えられた.
  • 大石 勉, 関 孝, 城 宏輔, 宮川 智幸, 高橋 豊, 崎山 幸雄, 松本 脩三
    1990 年13 巻3 号 p. 220-228
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    亜急性壊死性リンパ球節炎は持続する発熱と頸部リンパ節腫脹を呈し,リンパ節生検にて傍皮質領域に凝固壊死を認める特異な疾患である.今回8例の3歳から18歳までの小児科領域における患者について末梢血リンパ球における免疫学的検討を行い, PHA, con A,抗CD 3抗体, PPD,カンジダ抗原に対する芽球化反応に著明な低下を認めた.同時にNK細胞活性の低下とCD 16陽性細胞の減少を認め,さらにEBV刺激によるB細胞からの免疫グロブリン産生は比較的保たれていることを明らかにしたので報告する.
  • 杉田 憲一, 鹿島 広久, 黒崎 元之, 江口 光興, 古川 利温
    1990 年13 巻3 号 p. 229-235
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    末梢血単核球をCD 3に属するマウスモノクローナル抗体(VIT 3b: IgG 1クラス)で刺激時の増殖能へのIFN-γの影響を3H-thymidineの取込みにより検討した. VIT 3 bによる増殖能は症例ごとに相違した. VIT 3 bによる増殖はIFN-γにより増強された.なお, IFN-γの増強(ヘルパー)効果はVIT 3 bによる増殖能の十分でない症例により強くみられた.しかし, IFN-γのヘルパー効果は最大でおよそ300%であった. VIT 3 bのみの反応は単球の濃度に大きく影響されたが, IFN-γのヘルパー効果は単球が5%の低濃度でもみられた.
    患者でのIFN-γのヘルパー効果は対照より劣っていた.
  • 軍司 祥雄, 落合 武徳, 浅野 武秀, 鈴木 孝雄, 榎本 和夫, 堀 誠司, 島田 英明, 保元 明, 磯野 可一
    1990 年13 巻3 号 p. 236-245
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本邦における腎移植患者の悪性腫瘍の発生について,全国の腎移植を行っている施設にアンケート調査を行ったところ, 1988年9月までに55例の悪性腫瘍を集計した.そこで移植患者の悪性腫瘍の発生と免疫抑制剤投与による生体防御機構の低下とのかかわりを検索するために,教室において腎移植を施行し3年以上移植腎が生着している患者の末梢血リンパ球のNK活性とrIL-2により誘導したLAK活性を測定した.腎移植患者のNK活性, LAK活性は,健常人および胃癌患者より有意に低下していた.免疫抑制剤の中ではAzathioprine投与群は非投与群に比べてNK活性・LAK活性は有意に低下していた. Prednisoloneは投与量の多いほど, NK活性・LAK活性の抑制がみられた.しかしCyclosporine投与群ではNK活性・LAK活性の低下は軽度で,腎移植後の免疫抑制剤の中でCyclosporineは効果的な免疫抑制作用を有するとともに生体防御機能の抑制は小さいと思われる.
  • 長沢 浩平, 山内 保生, 横田 英介, 仁保 喜之
    1990 年13 巻3 号 p. 246-252
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    結核菌は宿主の免疫系に何らかの影響を及ぼしうることが知られている.そこで全身性自己免疫疾患の代表である全身性エリテマトーデス(SLE)の病態が,結核の罹患によって変化するか否かを検討した.昭和54年より同63年までの10年間に当科に入院したSLE患者213名のうち結核に罹患したのは5名(2.2%)であった.このうち3名は結核罹患により, SLEの病態に大きな変化はみられなかった(2名:不変, 1名:軽度悪化).これに対し,比較的重症の粟粒結核に罹患した2名のSLE患者では,結核発症3~6ヵ月の間に尿蛋白およびRA-Tの陰性化,抗核抗体および抗DNA抗体価の低下など明らかなSLEの改善がみられた.このSLEの軽快はSLEに対する治療や自然経過によるものではなく,結核罹患による影響と考えられた.このように,重症で全身に結核菌が播種されるような粟粒結核では, SLEの病態が改善することもありうることが示唆された.
  • 城口 朝雄
    1990 年13 巻3 号 p. 253-267
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒトにおける抗原提示細胞の多様性ならびにその機能と主要組織適合抗原系(MHC)クラスII抗原発現との関係を明らかにする目的で, B細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)細胞の抗原提示能を検討するとともに, TPA処理によるB-CLL細胞上のHLA-DR抗原量の変化と抗原提示能との関連ならびにHLA-DR抗原による拘束性について検討し,以下の結果を得た.
    (1) B-CLL細胞は抗原特異的T細胞に対して抗原提示能を示した. (2) TPA処理により, B-CLL細胞のHLA-DR抗原発現の増強が認められた. (3) B-CLL細胞の抗原提示能は, TPA処理により増強された. (4) B-CLL細胞の抗原提示には, HLA-DR抗原による拘束性が存在した. (5) B-CLL患者末梢血より樹立したBリンパ芽球様細胞株はTPA処理B-CLL細胞とほぼ同等の抗原提示能を示した.
  • 二重膜濾過血漿交換療法との比較
    藤田 新
    1990 年13 巻3 号 p. 268-276
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(以下RA)患者5例に対してリンパ球除去療法(以下LCP)を施行し,その効果について検討するとともに, 12例のRA患者に対して施行した二重膜濾過血漿交換療法(以下DFPP)の効果と比較検討した. LCPは新しい白血球除去フィルターを用いて行った. LCPおよびDFPPは1ヵ月間に4回施行して1クールとし,施行前,施行1週, 4週, 8週後にそれぞれ臨床症状,臨床検査成績について検討した. LCPでは1回で3×109個のリンパ球を除去でき, 1クール施行後臨床症状の改善とともにLeu-3 a/Leu-2 a比の低下を認め,症状改善との関連が示唆された. DFPPでは, 1クール施行後臨床症状の改善とともに補体価(CH 50)の低下を認めたがリンパ球サブセットの変動は認めず, LCPとDFPPの症状改善に対する機序の違いが示唆された.また, LCPでは長期間の効果が期待できると考えられた.
  • 松嶋 広, 宮地 清光, 鷹野 佐恵子, 樋渡 恒憲, 荒川 正一, 加藤 真明, 保坂 洋夫
    1990 年13 巻3 号 p. 277-285
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本研究所に抗ミトコンドリア抗体(antimitochondrial antibody: AMA)の検索依頼を受けた167血清について,抗liver/kidney microsome 1 (LKM 1)抗体2血清と新たに抗Is抗体7血清を同定し,本抗体の免疫学的特徴について検討した.ラット肝臓のミトコンドリア分画,マイクロゾーム分画を抗原としたオクタロニー法で抗Is抗体は,抗LKM 1抗体,抗MM抗体,沈降性抗ミトコンドリア抗体M-A, M-B, M-C, M-D抗体と異なる自己抗体であった.ラット腎および肝のクリオスタット切片を用いた蛍光抗体法では,抗LKM 1抗体は腎近位尿細管細胞質を特異的に染色し,肝では門脈域,肝小葉内の肝細胞も含め細胞質を均一に染色した.抗Is抗体は,腎尿細管細胞,肝細胞の細胞質を弱く染色した.抗LKM 1抗体はAMAとの共存はなく,抗Is抗体は7例中6例がAMAとの共存であった.対応抗原の推定分子量は, HeLa細胞を用いた免疫沈降法でIs抗原は87, 80, 72 KDの複合体,ラット肝臓マイクロゾームを抗原とした免疫プロット法でLKM 1抗原は50 KDに検出された.
    これらの抗体を有する症例の特徴は,症例数が少なく現在検討中である.
  • 原田 直樹, 長沢 浩平, 岡村 孝, 仁保 喜之
    1990 年13 巻3 号 p. 286-291
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    赤芽球ろうから自己免疫性溶血性貧血を伴った全身性エリテマトーデスに移行した1例を報告する.症例は27歳女性で発熱,関節痛,筋肉痛にて入院. Hb 6.6g/dlと貧血を認め,尿ウロビリノーゲン(3+),直接クームステスト陽性,ハプトグロビン<10mg/dlより自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と診断.また,多関節炎,白血球減少, LE細胞陽性,抗DNA抗体高値, ANF強陽性より全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.この症例は今回発症の8年前に赤芽球ろうを発症しており,その機序として骨髄細胞培養による方法で抑制性T細胞による赤芽球系細胞抑制が認められている,今回は種々の自己抗体の発現を考慮すると,液性免疫の異常によりAIHAを伴ったSLEを発症したと考えられる.赤血球成熟の異なった段階で自己免疫異常を基に異なった機序での障害が加わり貧血を起こしたという意味で興味深い症例と思われる.
  • 柳川 達生, 日比野 久美子, 崔 益均, 佐藤 学, 鈴木 裕也
    1990 年13 巻3 号 p. 292-298
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    滲出性中耳炎,強膜炎で発症した結節性多発動脈炎(Polyarteritis nodosa:以下PAN)の1例を報告する.症例は61歳,女性.眩量,滲出性中耳炎を繰り返し,難聴を自覚しはじめた.数ヵ月後に強膜炎が出現し,ステロイド点眼療法が開始された.約1年半の経過にて高度の混合性難聴,角膜中心性潰瘍をきたし,眼症状の悪化とともに38°C台の発熱,意識障害もきたした.全身状態はステロイド投与にて改善した.その後,腓腹筋生検にて壊死性血管炎の所見を得, PANと診断した.
    心,腎,肺などに明らかな臓器障害を認めず,耳,眼症状が初発症状となるPANはまれである.また本例をAtypical Cogan症候群と確診することはできないが, PANとの関連を考えるうえで貴重な症例と考え報告した.
  • 道免 和文, 内藤 靖, 石橋 大海, 工藤 二郎, 林 純, 長沢 浩平, 仁保 喜之
    1990 年13 巻3 号 p. 299-305
    発行日: 1990/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リンパ節腫大を伴う高ガンマグロブリン血症がみられて5年後に全身性エリテマトーデス(SLE)の確定診断が得られた症例を報告する.症例は33歳の女性. 28歳時,血液検査で偶然に高ガンマグロブリン血症を指摘され入院.自覚症状はなく,理学的には左側頚部に数個の小豆大のリンパ節腫大を認めるのみであった. LE細胞現象は陰性で,抗核抗体,抗DNA抗体は弱陽性であった.リンパ管造影で両そけい部から腹部大動脈周囲にかけてリンパ節の腫大を認め,リンパ節生検にて形質細胞の増生がみられた. SLEが疑われたが, ARA診断基準(1971年)を満たさず,特発性高ガンマグロブリン血症またはlatent SLEの診断の下で経過観察をしていた. 5年後に全身倦怠感,起床時の手指のこわばり,発熱,脱毛が出現, SLEの確定診断が得られた.本症例はSLEの確定診断以前の病態を把握しており, SLEの進展ならびに自然経過を考えるうえで興味ある症例と思われた.
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