抄録
赤芽球ろうから自己免疫性溶血性貧血を伴った全身性エリテマトーデスに移行した1例を報告する.症例は27歳女性で発熱,関節痛,筋肉痛にて入院. Hb 6.6g/dlと貧血を認め,尿ウロビリノーゲン(3+),直接クームステスト陽性,ハプトグロビン<10mg/dlより自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と診断.また,多関節炎,白血球減少, LE細胞陽性,抗DNA抗体高値, ANF強陽性より全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.この症例は今回発症の8年前に赤芽球ろうを発症しており,その機序として骨髄細胞培養による方法で抑制性T細胞による赤芽球系細胞抑制が認められている,今回は種々の自己抗体の発現を考慮すると,液性免疫の異常によりAIHAを伴ったSLEを発症したと考えられる.赤血球成熟の異なった段階で自己免疫異常を基に異なった機序での障害が加わり貧血を起こしたという意味で興味深い症例と思われる.