日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
自己免疫性肝疾患に検出される抗liver/kidney microsome (LKM) 1抗体と抗Is抗体
松嶋 広宮地 清光鷹野 佐恵子樋渡 恒憲荒川 正一加藤 真明保坂 洋夫
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 13 巻 3 号 p. 277-285

詳細
抄録
本研究所に抗ミトコンドリア抗体(antimitochondrial antibody: AMA)の検索依頼を受けた167血清について,抗liver/kidney microsome 1 (LKM 1)抗体2血清と新たに抗Is抗体7血清を同定し,本抗体の免疫学的特徴について検討した.ラット肝臓のミトコンドリア分画,マイクロゾーム分画を抗原としたオクタロニー法で抗Is抗体は,抗LKM 1抗体,抗MM抗体,沈降性抗ミトコンドリア抗体M-A, M-B, M-C, M-D抗体と異なる自己抗体であった.ラット腎および肝のクリオスタット切片を用いた蛍光抗体法では,抗LKM 1抗体は腎近位尿細管細胞質を特異的に染色し,肝では門脈域,肝小葉内の肝細胞も含め細胞質を均一に染色した.抗Is抗体は,腎尿細管細胞,肝細胞の細胞質を弱く染色した.抗LKM 1抗体はAMAとの共存はなく,抗Is抗体は7例中6例がAMAとの共存であった.対応抗原の推定分子量は, HeLa細胞を用いた免疫沈降法でIs抗原は87, 80, 72 KDの複合体,ラット肝臓マイクロゾームを抗原とした免疫プロット法でLKM 1抗原は50 KDに検出された.
これらの抗体を有する症例の特徴は,症例数が少なく現在検討中である.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top