日本臨床免疫学会会誌
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実験的アレルギー性肝炎モデルに対する小柴胡湖の及ぼす影響
溝口 靖紘申 東恒河田 則文小林 絢三森沢 成司山本 祐夫
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1990 年 13 巻 4 号 p. 320-327

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抄録

免疫原性の強いトリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムをハプテンとして,モルモット肝高分子蛋白分画(LP 1)をキャリアー蛋白としてモルモットをトリニトロフェニール(TNP)化LP 1で感現した.2週間後にTNP化LP 1で感作したモルモットにTNP化した肝細胞を腸間膜静脈よりチャレンジすることにより免疫学的肝障害を誘導した.この免疫学的肝障害モルモットの誘導に小柴胡湯がいかなる影響を及ぼすかについて検討した.その結果,小柴胡湯の投与により免疫学的肝障害モルモットの血清GOT, GPT値は著明に改善された.組織学的にも非投与群ではfocal necrosisからbridging necrosisが中間帯から中心帯領域に認められたが,小柴胡湯投与群では軽度のfocal necrosisのみ認められた.
以上の結果より,小柴胡湯は本免疫学的肝障害モデルに有効であることが示唆された.

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