抄録
慢性関節リウマチ(RA)の治療には,非ステロイド性消炎剤(NSAID)とともに,抗リウマチ剤(免疫調節剤)の投与が一般的に行われている.近年, D-ペニシラミンと同様にSH基をもち,かつ副作用の少ない抗リウマチ剤としてブシラミンが用いられはじめたが,そのブシラミンについても副作用が報告されるようになってきた.今回われわれは,長期投薬加療中のRA症例において,ブシラミン投与3日目より,高度な薬物中毒症状(全身中毒疹,肝機能障害)が出現し,投与中止に至った症例を経験した.本症例ではブシラミンの中止後,ベタメサゾン投与により肝機能は改善し,皮膚粘膜症状も消失した.リンパ球幼若化試験で,ブシラミンのみ弱陽性を示したことより,以上の症状はブシラミンによる副作用であると診断した,今後,本剤の投与にあたっては,これら副作用に対する十分な注意を払うと同時に,常用量300mgについても十分な検討が必要であると考えた.