抄録
当科において経験した原発性胆汁性肝硬変症(PBC)を合併した膠原病および自己免疫疾患8例について文献的考察を加え検討を行った.原疾患の内訳はシェーグレン症候群(SjS) 5例,慢性関節リウマチ(RA) 3例,進行性全身性硬化症(PSS) 5例, CREST症候群1例, Mixed connective tissue disease(MCTD) 1例,慢性甲状腺炎2例であった.全例いわゆる無症候性PBCで,血清ALP, IgMの上昇が特徴的であった.甲状腺ホルモンを投与した2例では血清ALPの低下を認めPBCに対する有効性が示唆された.各種自己抗体の検索の結果,抗セントロメア抗体(ACA)は50%に検出され, PBCに特異的とされる抗M2抗体は全例に検出された.膠原病患者において肝機能障害,抗ミトコンドリア抗体(AMA)を認めた場合, PBCを疑い積極的に検査を進めることが必要と思われた.