抄録
抗セントロメア抗体(anti-centromere antibody; ACA)が検出された原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis; PBC) 13例を対象とし, ACAの免疫グロブリンクラス別およびIgGサブクラス別測定の意義について検討した. ACAの免疫グロブリンクラスは, IgG型13/13 (100%),次いでIgA型1/13 (8%)の順であり, IgM型は1例も検出されなかった. ACAのIgGサブクラスは, IgG1 13/13 (100%),次いでlgG3 12/13 (92%)の順に多く検出された. IgG2型およびlgG4型ACAは, 7/13 (54%)および6/13 (46%)と陽性率は低く,陽性例の抗体力価は80~2,560倍と広範な分布を示した.また, ACAと共存する抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody; AMA)は, IgGサブクラス間の陽性率に差はなかった. ACAのIgGサブクラスとPBCの病像との明らかな関連は見いだしえなかった.