抄録
乳癌患者12名について,リンパ節転移陰性群8例と陽性群4例に分け,末梢血リンパ球サブセットとphytohaemagglutinin (PHA)刺激リンパ球芽球化反応を中心にしてその推移を検討した. PHA刺激リンパ球芽球化反応は,リンパ節転移陽性群のほうが陰性群に比べ,術後7日目では有意に高値を示した(p<0.05).リンパ球サブセットでは,リンパ節転移陰性群で, CD4+CD29+細胞が,術後7日目に増加した(p<0.05)のに対し,転移陽性群の術後7日目のそれは,陰性群に比して有意に低値を示した(p<0.05). CD8+細胞のうちCD8抗原を強く表現するCD8++細胞では,リンパ節転移陽性群が陰性群に比べ術後7日目に有意に低下していたが(p<0.05),サプレッサーT細胞であるCD8++・CD11+細胞は,術前より有意に増加しており(p<0.05),細胞障害性T細胞が著しく減少することがうかがえた.