日本臨床免疫学会会誌
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HLA B27陽性高齢男性に発症した多発性関節炎-Late onset peripheral spondyloarthropathyと考えられる1例-
多田 芳史真弓 武仁長沢 浩平草場 公宏
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1991 年 14 巻 2 号 p. 232-237

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抄録
50歳の男性が両側足,手,肘関節と左膝関節痛および腰痛にて入院した.腰部の屈曲制限を認め,検査成績ではHLA B27陽性,リウマトイド因子陰性,血沈は1時間値158 mm. X線では仙腸関節や疼痛部の関節に異常なく,腰椎に軽度の骨きょくを認めた.骨シンチグラムでは両側足関節,踵骨,手関節,右第1指MPと第2指PIP関節で取込みを認めた.以上よりseronegative spondyloarthropathy,なかでも仙腸関節に異常を認めないが,強直性脊椎炎を疑った. 5年間の経過中,血沈の上昇をともなった腰背部,後頚部痛および末梢の関節炎を数回繰り返したが, X線では腰椎,仙腸関節,末梢関節ともに異常を見いだしえなかった.本症例はHLA B27陽性,高齢発症,脊椎に比べ末梢関節炎が強い,炎症所見が強い, X線上脊椎と仙腸関節に異常を認めないなどの特徴を有しており,最近DubostとSauvezieが提唱したlate onset peripheral spondyloarthropathyの概念に近い1例と考えられた.
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