日本臨床免疫学会会誌
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慢性関節リウマチの関節外症状と免疫異常
中野 正明
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1991 年 14 巻 4 号 p. 376-386

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抄録
慢性関節リウマチ(RA) 131例について,関節外症状別に臨床背景,検査所見の比較検討を行った.悪性関節リウマチ(MRA)あるいは間質性肺炎(IP)の合併例は22例であり,疾患活動性やリウマトイド因子(RF)が高値で,予後不良であった.続発性のアミロイドーシスの合併は17例で,疾患活動性は高値であったが, RFは低値であり,蛋白尿や腎機能低下が各々13例, 12例に観察され,最も予後不良であった.全身性エリテマトーデスなどの膠原病の重複例が18例に認められ,低補体血症やγグロブリンの高値が特徴的であった.一方,組織学的に上記以外の腎障害の合併例は30例で,血尿を18例に認めたものの,蛋白尿や腎機能低下の出現は低頻度で,予後は良好であった.検査所見では,疾患活動性とともにRFの低値が認められ, RAに認められる腎障害は, MRAで観察される関節外症状とは異なり, RA自体の炎症反応や免疫異常とは異なる成因による障害であることが示唆された.
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