日本臨床免疫学会会誌
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γグロブリン製剤の大量投与により一時的に甲状腺機能の改善を認めたバセドウ病の1例
伊東 俊夫北嶋 直人木下 芳一梶谷 定志岸原 道三稲留 哲也福崎 恒
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1992 年 15 巻 1 号 p. 110-114

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抄録
49歳,女性. 1986年秋動悸,全身倦怠感を自覚.紫斑が出現. 1987年7月入院.眼球突出なし.びまん性甲状腺腫あり.貧血なく,白血球数,血小板数は減少. T. Bil, I. Bilが増加. T 3, T 4, FT 3, FT 4,サイログロブリンが増加し, TSHレセプター抗体は陽性. TSHは感度以下. 123I uptakeは増加.サイロイドテスト,マイクロゾームテストは陽性.クームス試験は陰性.ハプトグロビンは低下. PAIgGは弱陽性.骨髄穿刺検査で巨核球数は増加.特発性血小板減少性紫斑病を合併したバセドウ病と考えた.出血傾向のためにヒト免疫グロブリン製剤17.5gを5日間投与したところ, T 3, T 4, FT 3, FT 4, TSHレセプター抗体の低下, TSHの増加, 123I uptake検査にて低下傾向を認めた. TSHレセプター抗体がTSH受容体へ結合するのをγグロプリンが一時的にブロックしたのか, TSHレセプター抗体の産生を抑制したのかもしれないが,詳細は不明である.今後詳細な検討が必要である.
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