抄録
Mixed type自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と血小板減少性紫斑病(ITP)の寛解後に, Sjögren症候群(SjS)を発症したごくまれな症例を経験した.症例は19歳女性. 16歳時, AIHAおよびITPを発症. PAIgGは軽度高値. AIHAについては, IgG,補体およびI抗原赤血球に対する広域温度反応性IgMの関与が証明されmixed typeと診断.梅毒反応は偽陽性であったがlupus anticoagulantの存在は否定された.ステロイド剤にAIHA, ITPはよく反応し1年後中止. 19歳時,関節痛,耳下腺腫大をきたしSjSと診断. SjS発症時, suppressor inducer T細胞(CD 4+CD 45 R+)比率の低下, suppressor T細胞(CD 8+CD 11+)比率の高値を認め, CD 3+, CD 4+, CD 8+細胞比率はAIHA発症時とほぼ同等であった. AIHA発症時,ツベルクリン反応は陰性.これらの所見からT細胞機能異常を基盤として, mixed type AIHAとITPの発症時にはsubclinicalに潜んでいたSjSが時を経て顕在化したと推定された.