日本臨床免疫学会会誌
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Mixed type自己免疫性溶血性貧血および血小板減少性紫斑病を初発症状としたSjögren症候群の1例
郡山 健治河野 厚姫井 成前田 勉北原 禎也
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1992 年 15 巻 1 号 p. 102-109

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抄録
Mixed type自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と血小板減少性紫斑病(ITP)の寛解後に, Sjögren症候群(SjS)を発症したごくまれな症例を経験した.症例は19歳女性. 16歳時, AIHAおよびITPを発症. PAIgGは軽度高値. AIHAについては, IgG,補体およびI抗原赤血球に対する広域温度反応性IgMの関与が証明されmixed typeと診断.梅毒反応は偽陽性であったがlupus anticoagulantの存在は否定された.ステロイド剤にAIHA, ITPはよく反応し1年後中止. 19歳時,関節痛,耳下腺腫大をきたしSjSと診断. SjS発症時, suppressor inducer T細胞(CD 4+CD 45 R+)比率の低下, suppressor T細胞(CD 8+CD 11+)比率の高値を認め, CD 3+, CD 4+, CD 8+細胞比率はAIHA発症時とほぼ同等であった. AIHA発症時,ツベルクリン反応は陰性.これらの所見からT細胞機能異常を基盤として, mixed type AIHAとITPの発症時にはsubclinicalに潜んでいたSjSが時を経て顕在化したと推定された.
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