日本臨床免疫学会会誌
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15 巻, 1 号
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  • 竹内 勤
    1992 年15 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 菅原 正弘, 橋本 博史, 谷口 修, 高崎 芳成, 廣瀬 俊一
    1992 年15 巻1 号 p. 13-19
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)における尿中各種抗核抗体の測定を行い,その意義を検討した.尿中抗核抗体価は血中抗体価,尿中IgG量と有意の相関を示した(p<0.001).また,血中でspeckled patternを呈した症例はhomogeneousを呈した症例に比し尿中ANA陽性例が有意に多く認められた(p<0.01).通常検査で蛋白尿陰性にもかかわらず尿中ANA陽性例がみられたが,全例血中ANA値×2,560以上と高値で尿中IgG量も尿中ANA陰性例に比し有意に多く認められた(p<0.01).
    ELISAによる血中抗体陽性例を用いた検討では抗Sm抗体は抗DNA抗体に比し尿中陽性例が有意に多く認められた(p<0.01).
    尿中抗核抗体は腎症の早期診断には不適と思われたが,臨床への応用の可能性が示唆された.
  • 大野 恭裕, 飯尾 一也, 岸谷 譲, 井神 仁, 今村 稔, 青木 矩彦
    1992 年15 巻1 号 p. 20-28
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    種々の免疫異常が報告されているGraves病について,本研究では45名の患者を対象とし末梢血細胞のinterleukin-1 (IL-1), interleukin-2 (IL-2)産生能を健常者と比較し,さらに抗甲状腺剤と甲状線ホルモンのIL-1, IL-2産生に及ぼす影響についても健常人の末梢血細胞を用いて検討した. Lipopolysaccharide刺激単球の培養上清をIL-1測定用, phytohemagglutinin刺激リンパ球の培養上清をIL-2測定用試料とし, IL-1, IL-2共にradioimmunoassayで測定した.甲状腺機能亢進Graves病では健常者より有意なIL-1産生の増加とIL-2産生の低下を認めた.甲状腺機能正常Graves病ではIL-1, IL-2産生共に健常者と差はなかった. Propylthiouracil (PTU)とmethimazole (MMI)は濃度依存性にIL-1を抑制したが, MMIはIL-2を増加させた.一部の健常者では3-5-3'triiodothyronine (T3)はIL-1を増加させた.本研究より甲状腺機能亢進Graves病ではIL-1の増加とIL-2の低下があり,さらに抗甲状腺剤と甲状腺ホルモンがIL-1, IL-2産生に影響する可能性も示唆された.
  • 菊池 正俊
    1992 年15 巻1 号 p. 29-37
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膠原病患者における抗リン脂質抗体の出現頻度ならびにその臨床的意義について検討するため,膠原病患者197例(SLE 108例, RA 39例, MCTD 29例, SjS 13例, PSS 8例)を対象として, ELISAで抗cardiolipin抗体ならびに抗phosphatidyl serine抗体を測定した,抗リン脂質抗体は, SLEだけでなく,膠原病全体に広く認められた.各疾患について抗リン脂質抗体と臨床像との関連をみると, SLEでは血小板減少, BFP, CNSループス,自然流産と関連がみられ, MCTDでは,肺高血圧症合併例に同抗体の陽性率が高かった. RAでは,抗核抗体陽性例,乾燥症状合併例に抗cardiolipin抗体陽性者が多く認められた. SjSおよびPSSでは,抗リン脂質抗体と臨床所見との関連はみられなかった.抗リン脂質抗体は, SLEやMCTDでは,特徴的な症状との関連が認められたが,他の膠原病では,そのような関連はみられなかった.抗リン脂質抗体の臨床的意義を確立するためには,対象疾患や交叉反応性を含めた今後の検討が必要であると考えられた.
  • 馬場 眞澄, 澤田 滋正, 川平 宏, 志田 光正, 葉山 隆, 西成田 進, 水間 宏, 神田 靖男, 堀江 孝至
    1992 年15 巻1 号 p. 38-44
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ゼラチン粒子凝集法によるスクリーニング検査で陽性と判定された3例の血友病と3例のHIV感染者の血清を, ENVACOR EIA法およびウエスタンブロット法を用いて経時的に検査し, HIV抗体の推移と検査法の相関性を検討した.また酸および熱処理してHIV抗原の早期検出を試みた.
    ENVACOR EIA法ではエンベロップ抗体は全例に陽性,コア抗体は6例中5例に陽性であった.ウエスタンブロット法でみられるp24のバンドは5例にみられ, gp 41とgp 120のバンドは全例に認められた. ENVACOR EIA法とウエスタンブロット法の各々のバンドは完全に一致しなかった. HIV抗原は同性愛者の1例に検出されたが,他の症例は陰性であった. p24抗原が検出されなかった5例のHIV感染者の血清を,酸と熱で処理して抗原抗体複合物を解離した後,抗原を測定すると, 5例中1例にp24抗原が検出された.酸と熱で処理するこの方法はHIVの経過を知る有益な方法である.
  • 広畑 俊成, 伊藤 幸治
    1992 年15 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    高分子蛋白であるα2-macroglobulin (α2M)の種々の神経疾患83例の髄液・血清中の濃度比(Qα2M)を固相酵素抗体法を用いて定量した.非器質性疾患(対照群) 18例の髄液α2M濃度は2.55±0.92μg/ml (Mean±SD)で,血清α2M濃度との間に有意の相関(r=0.65)を認めた.非炎症性神経疾患(変形性脊椎症・脳血管障害・変性性疾患)および非器質性疾患の61例(r=0.73),炎症性神経疾患(多発性硬化症・感染症)の22例(r=0.91)のいずれにおいても, Q albumin (髄液/血清albumin比×103)とQα2M (髄液/血清α2M比×103)との間に有意の相関が認められた. Qα2M/Q albumin比は,対照群で0.26±0.08 (Mean±SD)であったが,特に各種疾患群では,感染症でやや高値を示す傾向はみられたが,有意の差はなかった.しかし,感染症では症状の軽快とともにQα2M/Q albumin比は有意に低下する傾向を示した.以上より, Qα2Mは脳血液関門の指標として有用であるとともにQ albuminでは判別できない脳血液関門の障害を反映しうることが示唆された.
  • 西野 和良, 中澤 眞平, 倉辻 忠俊, 杉田 完爾, 安倍 隆, 鈴木 敏雄, 木下 明俊, 斎藤 みどり, 神野 直昭, 山本 正生, ...
    1992 年15 巻1 号 p. 51-59
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Common variable hypogammaglobulinemia (CVH) 11例のin vitroにおける免疫グロブリン産生能の検討を酵素抗体法を用い行った.全例,単核球単独の培養上清中に産生される免疫グロブリン量は極めて低値で,この培養系にPWMを添加しても免疫グロブリン産生の増加は認められなかった. 11例中6例に, B細胞の機能異常が,また, 11例中5例に, T細胞の機能異常が示され,さらにこの5例中3例では,サプレッサー活性の亢進が証明された.
    サプレッサー活性の亢進が証明された2証例に, cimetidine 800mg/day, 4週間経口投与したところ,血清免疫グロブリン値が1例では不変,他の1例では軽度の上昇傾向を示した.また2症例とも投与期間中,感染を認めず,臨床的効果が認められた.しかし, 2症例の末梢血単核球培養系にシメチジン各種濃度(0.1~100μg/ml)を添加しても,産生される免疫グロブリン量には有意な影響は認められなかった.また患者T細胞と正常人B細胞とを組み合わせた培養系にシメチジン各種濃度(0.1~100μg/ml)を添加した場合にも有意な変化はみられなかった.シメチジン投与前後での,リンパ球表面細胞膜マーカー,単核球の免疫グロブリン産生能,正常人免疫グロブリン産生に及ぼすサプレッサー機能にも明らかな変化は認められなかった.
  • 鈴木 直仁, 上田 隆, 谷本 潔昭, 森田 寛, 奥平 博一, 伊藤 幸治
    1992 年15 巻1 号 p. 60-66
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    IgE産生細胞の分化と成熟に関する最近の知見では,ステロイドがIgE抗体産生を抑制する可能性が示唆されている.一方,臨床レベルでのステロイド投与がアトピー性疾患患者の血清IgE抗体価を低下させるか否かについてはいまだ明確な報告がない.われわれは今回,アトピー性素因を有し著明な高IgE血症を呈する全身性エリテマトーデス(SLE)の男性症例を経験し,ステロイド・パルス療法による血清IgE抗体価の変化を追跡した.その結果,ステロイドの大量投与はIgE抗体産生を抑制することが示唆された.ステロイドによるこのIgE抗体抑制効果は抗原特異抗体の種類によって差がみられた.さらに,ダニ特異IgG抗体価にもステロイド投与による低下が認められた.われわれが検索した範囲では,ステロイド投与による抗原特異IgE抗体およびIgG抗体の減少の確実な報告は本例が第1例である.
  • 武田 誠司, 小貫 圭介, 戸原 震一, 児玉 武利, 向野 賢治
    1992 年15 巻1 号 p. 67-74
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗けいれん剤服用中に, IgA単独欠損症を伴った全身性エリテマトーデス(SLE)を発症した1例を経験した.患者は25歳の男性で13歳時よりけいれん発作が出現し,その後,抗けいれん剤の投与を受けていたが,発熱,顔面紅斑,四肢の皮疹の出現や関節痛,筋肉痛を認めるようになった.入院後, diphenylhydantoin投与中止にもかかわらず,症状の改善傾向を認めず,検査成績においても,薬剤性ループスに相反する所見を呈したこと,およびループス素因(母親がSLEおよび強皮症(PSS)で当科通院中)を認めたことより,自然発症SLEと診断され, prednisoloneおよびazathioprine併用投与により寛解した.経過中,血清IgA値は持続して低値を示した. IgA単独欠損症と抗けいれん剤およびSLEの三者の関連性について, HLA, IgGサブクラス検索を含めて考察を加えた.
  • 奥秋 靖, 石木 基夫
    1992 年15 巻1 号 p. 75-80
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は21歳女性. siliconeによる乳房形成術7ヵ月後に発熱,両側性虹彩炎が出現し,赤沈の充進, CRP陽性,高γグロブリン血症を認めた.また,ガリウムシンチにてsilicone挿入部,両眼,両腎に異常集積がみられた. siliconeの抜去により,発熱,臨床検査値の異常は改善した.しかし,抜去後のガリウムシンチで両腎の異常集積が持続したため,腎生検を施行したところ間質性腎炎と診断された. silicone挿入後にヒトアジュバント病が発症することがあり,その発生機序に免疫学的異常が関与することが知られている.これまで多くのアジュバント病報告例があるが, siliconeを用いた乳房形成術後に発症した尿細管間質性腎炎と両側性虹彩炎の合併例の報告は本症例が初めてである.さらに本例では,その診断にガリウムシンチが有用であった.ヒトアジュバント病の診断,病態解明に示唆を与える症例と考え報告した.
  • 河野 陽一, 星岡 明, 斎藤 公幸, 下条 直樹, 本間 季里, 勝木 利行, 田辺 恵美子, 新美 仁男
    1992 年15 巻1 号 p. 81-86
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    血管浮腫は,即時型過敏反応,血清病のような全身性免疫反応,そして血清中の補体第1成分阻害因子(C1 inhibitor; C1-INH)の活性低下などにより引き起こされる.われわれは,頻回に腹痛を訴え,その腹痛発作時に補体値の低下を認めた15歳の女性の症例を経験した.低補体値より,血管浮腫を疑いC1-INHを検索したところ, C1-INHの活性とC1-INH蛋白の低下が認められた.家族内の検索において,他に同様の臨床症状および低補体値, C1-INH活性の低下を示す者は認められなかった.しかし, C1qが正常範囲でありリンパ球増殖性疾患やC1-INHに対する自己抗体が認められないことから突然変異による遺伝性血管神経性浮腫(hereditary angioneurotic edema; HANE)と診断した.また,本症例はシアログラフィー,口唇唾液腺の組織学的検索よりSjögren症候群と診断されており, Sjögren症候群に合併したHANEの1例と考えられる.
  • 塚本 浩, 内藤 靖, 黒木 巳賀, 長野 政則, 長沢 浩平
    1992 年15 巻1 号 p. 87-93
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,女性.労作時息切れを主訴に近医受診し,胸写上肺動脈拡張を指摘され当科入院.膠原病を疑わせる検査所見あるも診断基準を満たさず,心臓カテーテル検査などの結果より原発性肺高血圧症と診断し退院.退院後1ヵ月頃より蝶形紅斑および抗二本鎖DNA抗体が出現したことより全身性エリテマトーデス(SLE)の診断が確定したため,ステロイド投与および血漿交換を行ったところ, 4ヵ月後の心臓カテーテル検査にて肺動脈圧および肺血管抵抗の低下を認めた. SLEに肺高血圧症を伴う例のあることは知られているが,肺高血圧症がSLEの診断に先行することは極めてまれである.また原発性肺高血圧症の20~30%にレイノー現象,関節炎,免疫反応の異常など全身性疾患を示す所見を有するものが認められ,これらに対するステロイドなどの免疫抑制療法の可能性を考えるうえで参考になる1例と思われた.
  • 玉谷 実智夫, 守口 篤, 大塚 篤弘, 森本 茂人, 荻原 俊男, 橋本 公二, 吉川 邦彦
    1992 年15 巻1 号 p. 94-101
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)に,軟部組織の石灰沈着を伴う症例はまれである. SLEに軟部組織のみならず広範な動脈および大脳基底核に石灰沈着をきたした1症例を経験した.症例は57歳女性.蝶形紅斑,関節炎,抗核抗体陽性,汎血球減少などによりSLEと診断され,以来20年間ステロイド投与を受けている.数年前前腸骨棘外側および尾骨付近に皮下腫瘤を触知し,組織診により石灰沈着と診断された. 1990年7月労作時呼吸困難のため入院.単純X線, CT検査により,骨盤,上下肢などの皮下組織,大動脈弓,大動脈,総腸骨動脈,内頸動脈,大脳基底核に石灰沈着を認めた.組織診では真皮下層から脂肪組織にかけて硝子化,一部石灰化が認められた.皮下腫瘤の赤外分光分析の結果,リン酸カルシウムが主成分であった,本症例の異所性石灰化症にはSLEによる全身性の血管炎およびステロイド内服の関与が示唆された.
  • 郡山 健治, 河野 厚, 姫井 成, 前田 勉, 北原 禎也
    1992 年15 巻1 号 p. 102-109
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Mixed type自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と血小板減少性紫斑病(ITP)の寛解後に, Sjögren症候群(SjS)を発症したごくまれな症例を経験した.症例は19歳女性. 16歳時, AIHAおよびITPを発症. PAIgGは軽度高値. AIHAについては, IgG,補体およびI抗原赤血球に対する広域温度反応性IgMの関与が証明されmixed typeと診断.梅毒反応は偽陽性であったがlupus anticoagulantの存在は否定された.ステロイド剤にAIHA, ITPはよく反応し1年後中止. 19歳時,関節痛,耳下腺腫大をきたしSjSと診断. SjS発症時, suppressor inducer T細胞(CD 4+CD 45 R+)比率の低下, suppressor T細胞(CD 8+CD 11+)比率の高値を認め, CD 3+, CD 4+, CD 8+細胞比率はAIHA発症時とほぼ同等であった. AIHA発症時,ツベルクリン反応は陰性.これらの所見からT細胞機能異常を基盤として, mixed type AIHAとITPの発症時にはsubclinicalに潜んでいたSjSが時を経て顕在化したと推定された.
  • 伊東 俊夫, 北嶋 直人, 木下 芳一, 梶谷 定志, 岸原 道三, 稲留 哲也, 福崎 恒
    1992 年15 巻1 号 p. 110-114
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    49歳,女性. 1986年秋動悸,全身倦怠感を自覚.紫斑が出現. 1987年7月入院.眼球突出なし.びまん性甲状腺腫あり.貧血なく,白血球数,血小板数は減少. T. Bil, I. Bilが増加. T 3, T 4, FT 3, FT 4,サイログロブリンが増加し, TSHレセプター抗体は陽性. TSHは感度以下. 123I uptakeは増加.サイロイドテスト,マイクロゾームテストは陽性.クームス試験は陰性.ハプトグロビンは低下. PAIgGは弱陽性.骨髄穿刺検査で巨核球数は増加.特発性血小板減少性紫斑病を合併したバセドウ病と考えた.出血傾向のためにヒト免疫グロブリン製剤17.5gを5日間投与したところ, T 3, T 4, FT 3, FT 4, TSHレセプター抗体の低下, TSHの増加, 123I uptake検査にて低下傾向を認めた. TSHレセプター抗体がTSH受容体へ結合するのをγグロプリンが一時的にブロックしたのか, TSHレセプター抗体の産生を抑制したのかもしれないが,詳細は不明である.今後詳細な検討が必要である.
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