抄録
膠原病患者における抗リン脂質抗体の出現頻度ならびにその臨床的意義について検討するため,膠原病患者197例(SLE 108例, RA 39例, MCTD 29例, SjS 13例, PSS 8例)を対象として, ELISAで抗cardiolipin抗体ならびに抗phosphatidyl serine抗体を測定した,抗リン脂質抗体は, SLEだけでなく,膠原病全体に広く認められた.各疾患について抗リン脂質抗体と臨床像との関連をみると, SLEでは血小板減少, BFP, CNSループス,自然流産と関連がみられ, MCTDでは,肺高血圧症合併例に同抗体の陽性率が高かった. RAでは,抗核抗体陽性例,乾燥症状合併例に抗cardiolipin抗体陽性者が多く認められた. SjSおよびPSSでは,抗リン脂質抗体と臨床所見との関連はみられなかった.抗リン脂質抗体は, SLEやMCTDでは,特徴的な症状との関連が認められたが,他の膠原病では,そのような関連はみられなかった.抗リン脂質抗体の臨床的意義を確立するためには,対象疾患や交叉反応性を含めた今後の検討が必要であると考えられた.