日本臨床免疫学会会誌
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Human immunodeficiency virus (HIV)感染者6例のHIV抗体の推移と熱・酸解離処理によるHIV抗原の早期検出
馬場 眞澄澤田 滋正川平 宏志田 光正葉山 隆西成田 進水間 宏神田 靖男堀江 孝至
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1992 年 15 巻 1 号 p. 38-44

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抄録
ゼラチン粒子凝集法によるスクリーニング検査で陽性と判定された3例の血友病と3例のHIV感染者の血清を, ENVACOR EIA法およびウエスタンブロット法を用いて経時的に検査し, HIV抗体の推移と検査法の相関性を検討した.また酸および熱処理してHIV抗原の早期検出を試みた.
ENVACOR EIA法ではエンベロップ抗体は全例に陽性,コア抗体は6例中5例に陽性であった.ウエスタンブロット法でみられるp24のバンドは5例にみられ, gp 41とgp 120のバンドは全例に認められた. ENVACOR EIA法とウエスタンブロット法の各々のバンドは完全に一致しなかった. HIV抗原は同性愛者の1例に検出されたが,他の症例は陰性であった. p24抗原が検出されなかった5例のHIV感染者の血清を,酸と熱で処理して抗原抗体複合物を解離した後,抗原を測定すると, 5例中1例にp24抗原が検出された.酸と熱で処理するこの方法はHIVの経過を知る有益な方法である.
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