日本臨床免疫学会会誌
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全身性エリテマトーデスに広範な皮下軟部組織,動脈,大脳基底核の石灰沈着を合併した1例
玉谷 実智夫守口 篤大塚 篤弘森本 茂人荻原 俊男橋本 公二吉川 邦彦
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1992 年 15 巻 1 号 p. 94-101

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抄録
全身性エリテマトーデス(SLE)に,軟部組織の石灰沈着を伴う症例はまれである. SLEに軟部組織のみならず広範な動脈および大脳基底核に石灰沈着をきたした1症例を経験した.症例は57歳女性.蝶形紅斑,関節炎,抗核抗体陽性,汎血球減少などによりSLEと診断され,以来20年間ステロイド投与を受けている.数年前前腸骨棘外側および尾骨付近に皮下腫瘤を触知し,組織診により石灰沈着と診断された. 1990年7月労作時呼吸困難のため入院.単純X線, CT検査により,骨盤,上下肢などの皮下組織,大動脈弓,大動脈,総腸骨動脈,内頸動脈,大脳基底核に石灰沈着を認めた.組織診では真皮下層から脂肪組織にかけて硝子化,一部石灰化が認められた.皮下腫瘤の赤外分光分析の結果,リン酸カルシウムが主成分であった,本症例の異所性石灰化症にはSLEによる全身性の血管炎およびステロイド内服の関与が示唆された.
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