日本臨床免疫学会会誌
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組み換え型interleukin-2髄注と大量グリチルリチン療法が有効と考えられた亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の1例
藤枝 幹也浜田 文彦野村 伊知郎森田 英雄脇口 宏倉繁 隆信小倉 英郎
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1992 年 15 巻 2 号 p. 201-207

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抄録
患児は9歳女児. 7歳頃から退行現象に気づかれたが,その後,ミオクローヌスを含む臨床症状が観察されるようになり,脳波検査では両側性周期性大徐波(SSPE complex)が認められた.また血清ならびに髄液中の麻疹抗体価が有意に高値であったことから, 9歳時に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と診断された.抗痙攣剤に加え,イノシプレックスの内服,組み換え型interferon-α (γIFN-α)とthyrotropin releasing hormone (TRH)の髄注で治療されたが効果はみられなかった.入院3年8ヵ月後から,組み換え型interleukin-2 (γIL-2)の髄注, 5年後から大量グリチルリチンの静注を併用したところ,言語の出現,ミオクローヌスの減少などの臨床的改善がみられた.しかし,頭部CTでは大脳の萎縮が進行した.臨床症状の改善に伴い,遅延型過敏反応の回復, CD 4/CD 8比の上昇, natural killer (NK)細胞の活性化およびIFN-γ産生の改善が認められ,臨床症状の改善に免疫能の回復・正常化が関与している可能性が示唆された.
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