日本臨床免疫学会会誌
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15 巻, 2 号
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  • 簑田 清次
    1992 年15 巻2 号 p. 115-126
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 小野寺 秀記, 笠松 美宏, 竹村 周平, 中原 梨佐, 一尾 直子, 土井 たかし, 岡本 雅之, 柳田 国雄, 福田 亙, 田中 真理子 ...
    1992 年15 巻2 号 p. 127-134
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎(DPB) 3症例に対して延べ7回の免疫グロブリン(IG)療法を施行し,末梢血の血算や補体レセプターの変動を検討した.IG療法により赤血球は一過性に減少し,また治療前には著増していた単球や顆粒球の補体レセプターも減少した.赤血球の減少に対する確証は得られないが,肝脾など網内系での一過性捕捉が推定され,免疫複合体などのクリアランスが行われているものと推測された.単球膜表面CR 1, CR 2, CR 3と顆粒球膜表面CR 1の減少はそれぞれの血球膜上のC 3の増減をみないことから,この原因としてリガンド結合後に生じるinteriorizationやcappingによるレセプター性状の変化,あるいはレセプター自体の膜表面からの離脱が考えられ,同時にレセプターのregulation過剰亢進状態における膜表面へのレセプター補充の遅延があるものと考えられた.また症例によってはこれらのレセプターの減少に先立ち,短期間の間むしろレセプターが増加しており,補体レセプターはIG療法によりいったん増加した後減少している可能性が高いものと思われた.こうしたレセプターの増減が有する生物学的意義は,貪食細胞の機能亢進作用や,細胞内活性物質の遊離亢進作用であろうと考えられた.またIGの末梢血に対する直接的作用を検索するために,健常人のヘパリン化末梢血にIGを最終濃度3mg/mlとなるように添加し振盪加温した.その結果intact globulinおよびFc部分を欠くF (ab')2 globulinともに単球と顆粒球のCR 1を増加させ,単球のHLA・DRをも増加させた.またintact globulinは単球のIL-2レセプターを増加させ,リンパ球のHLA・DRを減少させた. DPBに対するIG療法には,補体系の関与したオプソニン効果の増強とともに,単球の活性化やリンパ球の抑制作用などの細胞性免疫にもなんらかの調節作用が存在するものと推定された.
  • 伊藤 功, 天野 宏一, 小出 純, 竹内 勤, 松山 隆美, 安倍 達
    1992 年15 巻2 号 p. 135-141
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    5年間に当院を受診し, ARA改訂基準でRAと診断された276例における腎障害の臨床的意義について検討した.
    腎障害は276例中25例に認められた.腎障害は臨床的に持続性蛋白尿を呈するもの(32.0%)と血尿を呈するもの(76.0%)の2群に分けられた.血尿群では腎不全の出現は一過性でありこれらはNSAID, DMARDなどの薬剤を中止,変更することにより改善したため,薬剤と関連した病態が示唆された.
    RAにおける2次性アミロイドーシスは10年以上の経過の長い症例に合併するといわれているが,われわれが行ったマッチド・コントロール・スタディーでは対照例と罹病期間に差を認めなかった.本研究での腎障害あり群の生命予後が,なし群に比べ有意に悪かったことから,腎障害はRAの予後を決定する重要な臓器障害であることが明らかとなった.
  • 大浪 更三, 梅津 佳英, 菊田 豊, 西間木 友衛, 粕川 禮司, 茂木 積雄, 吉田 浩
    1992 年15 巻2 号 p. 142-147
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗セントロメア抗体(ACA)の臨床的意義を検討するため, ACA陽性患者18例について臨床像と免疫学的検討を行った.
    臨床像では,レイノー現象が15例,関節炎13例,石灰沈着11例,食道機能低下・拡張10例,毛細血管拡張6例,皮膚硬化は3例,さらに手指のソーセージ様腫脹が1例にみられた.
    ACAに共存する自己抗体では抗ミトコンドリア抗体4例,抗M2抗体5例,抗平滑筋抗体2例,リウマトイド因子6例,抗マイクロゾーム抗体3例,抗血小板抗体3例,抗DNA抗体1例が検出された.検査成績ではAL-Pとγ-GTPの上昇が共に8例, IgM高値6例, IgG高値4例がみられた.胆道系酵素上昇群で免疫複合体が6例に検出され, PPD皮膚反応陰性が8例,リンパ球亜分画でOKIa 1の有意の増加傾向が認められた.
    HLAは8例で検索し, ACAではB 51とDRw 8が日本人の抗原頻度に比し,有意差が示された.また, PBCとCREST不全型合併の2例にDR 9がみられた.
  • 安田 正之, 友岡 和久, 野中 史郎, 末永 康夫, 延永 正
    1992 年15 巻2 号 p. 148-153
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1981年当初より1990年末までの間,自験例125人の膠原病患者に対して20mg/日以上のプレドニゾロンを使用した.その中で,眼圧上昇と眼症状をきたした12例と紹介例2例の計14例に認められた15エピソードを対象とし,ステロイド投与と眼症状との関連性を検討した. SLEは12例, 13エピソードを占めた.緑内障にとって最も特徴的な症状は目のかすみであり,患者は“霧の中にいるようだ”と訴えた.視力の異常は多くが訴えたが,この症状は緑内障に特異的な症状とは考えられなかった.眼痛や吐き気は長期にわたる眼圧の上昇の後に観察されており,これらはより重篤な症状と考えるべきであると思われた.眼圧の上昇は, 11エピソードではステロイド投与開始より2ヵ月以内に観察されたが,その他の4エピソードでは100日を経過して寛解中に生じた. Acetazolamide (Diamox)あるいはその他の眼科的処方に対する反応は, 10エピソードでは良好であったが, 5症例では減圧術を要した.結論として,今回の検討では,ステロイド投与による眼圧の上昇はSLEに最も多く認められたが, SLEに特異的な副作用ではなかった.また,重篤な眼障害は注意深い眼圧の測定とステロイドを服用中の膠原病患者に対してその危険性を教育しておくことで予防できると思われた.
  • 堀米 直人
    1992 年15 巻2 号 p. 154-161
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌手術時に脾動・静脈から同時に採血し,両者の白血球数,リンパ球分画,リンパ球数およびリンパ球サブセット値を比較することにより,胃癌患者において脾循環により生体の免疫応答性が受ける変化を検討した.その結果,白血球数,リンパ球数およびリンパ球サブセットの中のCD 8+ CD 11+細胞, CD 57- CD 16+細胞, CD 57+ CD 16-細胞に関しては, stage IVはstage Iに比較して有意の差を認めたが,脾動・静脈血間の比較ではすべての測定項目で有意差はみられなかった.そこで,リンパ球サブセット値の脾静脈血値/脾動脈血値比(SV/SA ratio)を算出して比較した.その結果, stage IV胃癌症例ではCD 8+ CD 11+細胞は脾静脈血で優勢であり, CD 8+ CD 11-細胞およびCD 57- CD 16+細胞は脾静脈血で劣勢であった.これは, stage IV胃癌症例においては,脾循環によりsuppressor T細胞が増加し, cytotoxic T細胞およびNK細胞の一部が減少することを意味した.すなわち, stage IV胃癌症例では脾循環により,患者の免疫応答性は抑制されていると考えられた.
  • 谷崎 勝朗, 貴谷 光, 岡崎 守宏, 御船 尚志, 光延 文裕, 古藤 直樹
    1992 年15 巻2 号 p. 162-167
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    カンジダは,気管支喘息の原因抗原としては最も普遍的な抗原の1つであるが,ハウスダスト抗原などとは異なった特徴をもっている.その特徴の1つは,遅発型気管支反応が出現しやすいことであり,また同時に特異的IgG抗体が産生されやすいという特徴をもっている.本論文では,カンジダに対する免疫アレルギー反応として, IgE系は好塩基球からのヒスタミン遊離により,またIgG系は特異的IgG抗体を測定することにより,カンジダ抗原の気管支喘息の発症機序への関与について検討を加えた.
  • 中林 透, 佐川 昭, 天崎 吉晴, 浄土 智, 渥美 達也, 渡部 一郎, 向井 正也, 藤咲 淳, 中川 昌一
    1992 年15 巻2 号 p. 168-176
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,三叉神経障害を呈したprimary Sjögren症候群(SJS)例の臨床像を検討したので報告する.当科SJS患者185例中6例(3.2%)に三叉神経障害を認めた.全例女性で,発症年齢は34~58歳であった.全例知覚のみの障害で,末梢性障害と考えられた. 1例で多発性脳神経障害を認めた以外に他の脳神経障害は認められなかった.脳神経以外の末梢性神経障害を呈したのは2例で, 1例に手根管症候群を認めたが,中枢性神経障害を呈した例はなかった.三叉神経障害で発症した症例は3例で, SJSの確定診断に長期間を要した.抗RNP抗体は4例に陽性で,そのうち3例にレイノー現象が認められ,レイノー現象と三叉神経障害の発現間隔は2ヵ月以内と近接していた. SJSにおける末梢性三叉神経障害の発症機序として,神経栄養血管炎や三叉神経節へのリンパ球浸潤による神経節細胞の障害などが考えられているが,本検討ではレイノー現象や抗RNP抗体も三叉神経障害の発症に関与する可能性が示された.
  • 宇野 由佳, 水口 隆, 中尾 克之, 小阪 昌明
    1992 年15 巻2 号 p. 177-183
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    白血球減少をきたした胸腺腫を伴う免疫不全症の2例を経験した.患者は易感染性を主訴とした55歳男性(症例1)と62歳男性(症例2)で,いずれも低ガンマグロブリン(γ-gl)血症と胸腺腫があり,胸腺腫を伴う免疫不全症と診断した.症例1は顆粒球減少症,症例2はリンパ球減少症の合併を認めた.末梢血リンパ球表面マーカーでは,両例ともにCD 4+/CD 8+比の低下とB細胞の減少がみられ,特に症例2で著明であった.また症例1でCD 8+ CD 11 b- CD 57+ DR-細胞,患者2でCD 8+ CD 11 b+ CD 57+ DR+細胞の増加を認めた.患者骨髄単核球のCFUアッセイでは, T細胞除去により症例1ではCFU-G, CFU-GMの,症例2ではCFU-G, CFU-Eのコロニー形成の改善を認め,この2例ではT細胞系の異常により造血が抑制され,白血球減少の一因となっていることが示唆された.胸腺腫を伴う免疫不全症の一部の症例ではなんらかの原因でT細胞系に異常を生じ,そのために胸腺腫,低γ-gl血症,造血障害が発症するものと考えられる.
  • 浄土 智, 佐川 昭, 天崎 吉晴, 小椋 庸隆, 渥美 達也, 中林 透, 渡部 一郎, 向井 正也, 藤咲 淳, 中川 昌一
    1992 年15 巻2 号 p. 184-189
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は18歳,女性.昭和63年発症の全身性エリテマトーデス(以下SLE).平成2年1月,発熱,精神症状が出現し,某院でステロイドの増量を受けたが解熱せず,頭痛,項部硬直,髄液異常が出現し,当科に転院した.臨床,検査所見より中枢神経ループス(以下CNS-lupus)と診断し,ステロイドーパルス療法を施行した.第8病日,当科入院時の髄液培養よりEnterococcus faecium (以下E. faecium)が同定され,同菌による髄膜炎の合併に対して抗生物質の静注,髄腔内投与を施行し治癒した. E. faeciumによる髄膜炎は非常にまれな日和見感染症で,その発症にステロイド治療中の免疫能低下状態に加え,本症例ではCNS-lupusによる血液脳関門の障害などが関与したと思われた.
  • 高田 穣, 高橋 清, 宗田 良, 難波 康夫, 小栗栖 和郎, 金広 有彦, 菅野 尚, 谷本 安, 山県 浩一, 河田 典子, 木村 郁 ...
    1992 年15 巻2 号 p. 190-195
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    著明なIgE高値を伴ったdyskeratosis congenitaの1例を経験した.本例は,皮膚網目状色素沈着・舌白板症・爪変形の典型的な三徴候に再生不良性貧血を合併しており,繰り返す上気道炎・肺炎・肺結核などの易感染性と, T細胞の軽度の減少・遅延型皮膚反応の低下がみられ,軽度の免疫不全状態と判断された.さらに,本例は著明なIgE値の上昇を認め, Wiskott-Aldrich症候群など,高IgE値を伴う免疫不全症候群との類似性が想定された.本症の病態を考えるうえでかかる所見は重要であり,今後は本症においてもIgE値の検索が必要と考えられた.
  • 向井 亮, 大森 房之, 松永 高志, 岩切 龍一, 山野 裕二郎, 道免 和文, 長野 政則, 岩田 康
    1992 年15 巻2 号 p. 196-200
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リウマチ熱を発症しその経過中に,強皮症を診断された1例を経験したので報告する.症例は40歳の男性で発熱と全身の関節痛,肘関節の腫脹,手指の硬化のため当院に入院となった. ASK高値であり臨床症状,検査所見とあわせてリウマチ熱と診断し, benzathine penicillin G 120万単位/日で治療を開始した.治療開始後関節痛,炎症所見は消失したが手指の硬化は持続した.皮膚生検で真皮中下層の膠原線維の膨化を認め強皮症と診断した.皮膚硬化に対してD-penicillamine 100mg/日を開始し徐々に改善していった.リウマチ熱と強皮症の合併はこれまで文献的な報告がないが,免疫学的異常を基礎とする両疾患の合併はこれらの疾患の病態を考えるうえで興味深いと思われた.
  • 藤枝 幹也, 浜田 文彦, 野村 伊知郎, 森田 英雄, 脇口 宏, 倉繁 隆信, 小倉 英郎
    1992 年15 巻2 号 p. 201-207
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患児は9歳女児. 7歳頃から退行現象に気づかれたが,その後,ミオクローヌスを含む臨床症状が観察されるようになり,脳波検査では両側性周期性大徐波(SSPE complex)が認められた.また血清ならびに髄液中の麻疹抗体価が有意に高値であったことから, 9歳時に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と診断された.抗痙攣剤に加え,イノシプレックスの内服,組み換え型interferon-α (γIFN-α)とthyrotropin releasing hormone (TRH)の髄注で治療されたが効果はみられなかった.入院3年8ヵ月後から,組み換え型interleukin-2 (γIL-2)の髄注, 5年後から大量グリチルリチンの静注を併用したところ,言語の出現,ミオクローヌスの減少などの臨床的改善がみられた.しかし,頭部CTでは大脳の萎縮が進行した.臨床症状の改善に伴い,遅延型過敏反応の回復, CD 4/CD 8比の上昇, natural killer (NK)細胞の活性化およびIFN-γ産生の改善が認められ,臨床症状の改善に免疫能の回復・正常化が関与している可能性が示唆された.
  • 方波見 重雄, 杉山 敏郎, 高井 康博, 菅 充生, 今井 浩三, 谷内 昭
    1992 年15 巻2 号 p. 208-214
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    著明な高γグロブリン血症を呈し,経過中に特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併した自己免疫性肝炎の1例を報告する.症例は69歳女性.全身倦怠感,頭重感を主訴に入院.多クローン性高γグロブリン血症(γ-globulin 6.0g/dl),抗一本鎖DNA抗体陽性,抗平滑筋抗体陽性および抗スルファチド抗体陽性,さらに肝生検組織は慢性活動性肝炎の像に加えて門脈域を中心に形質細胞の浸潤を認めた.一方,血小板数30×103/mm3, PA-lgG 234.9ng/107 cellsおよび骨髄巨核球数の増加が認められた.以上よりITPを合併した自己免疫性肝炎と診断した. Prednisolone 30mg/dayの経口投与により,高γグロブリン血症および血小板減少症は著しい改善をみた.
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