抄録
20年にわたる進行性の多発性関節症を有し, RAHA陽性で慢性関節リウマチとして治療されていた63歳の男性が,両側大腿骨頸部に病的骨折をきたした.股関節周囲組織,大腿骨頸部に高度のアミロイド沈着を認めるとともに,左上腕骨骨頭,左脛骨近位端に骨融解を認めた.その後消化管症状が著明となり,さらにARDSを発症し死亡した.剖検にて肺実質,消化管,関節周囲組織,骨融解部に著しいアミロイド沈着を認めた.本例のアミロイドはAL型で,骨髄中に異型形質細胞増多,尿中にBence-Johnes蛋白を認めたが,骨髄,骨融解部に形質細胞の腫瘍性増殖を認めず,原発性(AL型)アミロイド症と診断した.原発性アミロイド症において骨,関節,肺病変が問題とされることは稀であるので,本例を報告し,併せてアミロイド症における骨,関節,肺病変について文献的に考察を加えた.