日本臨床免疫学会会誌
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進行性関節症,骨破壊,びまん性肺アミロイド症をきたした原発性アミロイド症の剖検例
和田 勝也大月 亮三赤荻 照章田中 善紹迫 雅美原 洋林 英夫近藤 元治弥永 邦彦村田 晋一加納 正
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1992 年 15 巻 3 号 p. 276-284

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抄録
20年にわたる進行性の多発性関節症を有し, RAHA陽性で慢性関節リウマチとして治療されていた63歳の男性が,両側大腿骨頸部に病的骨折をきたした.股関節周囲組織,大腿骨頸部に高度のアミロイド沈着を認めるとともに,左上腕骨骨頭,左脛骨近位端に骨融解を認めた.その後消化管症状が著明となり,さらにARDSを発症し死亡した.剖検にて肺実質,消化管,関節周囲組織,骨融解部に著しいアミロイド沈着を認めた.本例のアミロイドはAL型で,骨髄中に異型形質細胞増多,尿中にBence-Johnes蛋白を認めたが,骨髄,骨融解部に形質細胞の腫瘍性増殖を認めず,原発性(AL型)アミロイド症と診断した.原発性アミロイド症において骨,関節,肺病変が問題とされることは稀であるので,本例を報告し,併せてアミロイド症における骨,関節,肺病変について文献的に考察を加えた.
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