抄録
症例: 49歳,女性,昭和43年,蝶型紅斑,光線過敏症などより全身性エリテマトーデス(以下SLE)と診断され,プレドニゾロン10~30mg/日にて経過観察中であった.昭和61年頃より両側性間歓性跛行出現し次第に増悪するため平成元年6月,血管造影を施行したところ腹部大動脈腎動脈分岐部直下に完全閉塞を認めた.大腿動脈以下には異常を認めなかった.腹部大動脈血栓症と診断し,ワーファリン投与により経過観察していたが間歌性跛行はさらに増悪したため,平成2年9月,腹部大動脈・右大腿動脈左総腸骨動脈バイパス術を施行し,間歇性跛行は改善した.
本症例は,ループスアンチコアグラント(以下LAC)陽性であり, LACの易血栓形成性とSLEではきわめて稀な大血管血栓性病変との関連性を考えるうえで非常に興味あるので報告する.