日本臨床免疫学会会誌
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15 巻, 3 号
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  • 長沢 正之, 矢田 純一
    1992 年 15 巻 3 号 p. 215-223
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 神宮 政男, 江崎 一子, 山本 政弘, 野中 史郎, 諫山 哲郎, 直野 敬, 延永 正
    1992 年 15 巻 3 号 p. 224-231
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ患者(RA)10例および変形性関節症(OA)患者11例の膝関節および股関節の人工関節手術時に,病巣近傍部および非病巣部として腸骨よりそれぞれ骨髄血を採取,単核球を得, PWM存在下,非存在下にて7日間培養し,上清の免疫グロブリンおよびリウマトイド因子(RF)をELISA法にて測定した.骨髄単核球によるIgGRFおよびIgMRF産生はOAに比べ, RAで有意に高値を示し,病巣部と非病巣部とでは差はみられなかった.骨髄単核球培養上清中のIgGRF/lgGおよびIgMRF/IgM比はOAに比べ, RAにおいて有意に高値を示した. RA患者骨髄単核球が産生するIgMRF量は同患者血清中RF濃度と有意な正相関を示したのに対し,血清CRP値ないしはRAの臨床的活動指数とは無関係であった.以上より, RA患者における単核球RF産生はすでに骨髄レベルで亢進しており,血清中で増加しているRFのソースであることが示唆された.
  • 関 孝, 城 宏輔, 久保 政勝
    1992 年 15 巻 3 号 p. 232-238
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    非中枢性疾患40例,細菌性髄膜炎13例,無菌性髄膜炎18例の急性期の髄液ネオプテリンをRIA法により測定した.細菌性髄膜炎,無菌性髄膜炎はそれぞれ有意に非中枢性疾患に比べ,髄液ネオプテリンは増加していた.細菌性髄膜炎は,無菌性髄膜炎に比べて髄液ネオプテリンが増加していた.無菌性髄膜炎の急性期の髄液中のCD 14陽性細胞数と細菌性髄膜炎の急性期の髄液中のCD 14陽性細胞数の間には,差を認めなかった.細菌性髄膜炎の急性期の髄液中のCD 14陽性細胞のネオプテリン産生能は,無菌性髄膜炎の髄液中CD 14陽性細胞のネオプテリン産生能に比べて,有意に高く,細菌性髄膜炎時の単球系細胞の方が無菌性髄膜炎時の単球系細胞より強く活性化されていると思われた.
  • Candida呼吸器感染症との関係
    友田 恒典, 陰山 克
    1992 年 15 巻 3 号 p. 239-245
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    白血病治療中の患者の血中Candida抗原,抗体および喀痰,糞便中Candida数を検し, Candida呼吸器感染症との関係をしらべた.抗白血病剤投与例にCandida抗原陽性例が治療前にくらべて多かった(P<0.01).血中Candida抗原陽性例と陰性例において, Candida呼吸器感染症の発生に有意差はなかった.抗体についても同様の関係を認めた. Candida抗原と抗体の組み合わせでみると,抗原陽性,抗体陰性例は抗原陰性,抗体陰性例にくらべてCandida呼吸器感染症の発生が多かった(p<0.05). Candida抗原陽性でも,抗体陽性の例には呼吸器感染症の発生は低率であった.喀痰は当然であるが腸内Candida数の増加例でもCandida抗原の陽性,陰性にかかわらずCandida呼吸器感染症例が多かった(p<0.01).
    以上, Candida呼吸器感染症の診断には,諸種の検査を組み合わせることが必要と考えられた.
  • 小澤 哲夫, 本間 智子, 菊池 正俊, 佐藤 健比呂, 中野 正明, 荒川 正昭
    1992 年 15 巻 3 号 p. 246-253
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス患者42名(活動性群5例,非活動性群37例)について,血漿中の免疫複合体(CIC)と補体活性化産物(Bb, C 4 d, iC 3 b, C 5 b-9)を測定し,疾患活動性との関連を検討した. CICは抗C 3 d抗体法(C 3 dCIC)とC 1 q固相法(C 1 qCIC)で測定した. C 3 dCICは,抗DNA抗体価やC 3, C 4, CH 50と相関し,臨床症状の再燃に先行して上昇するなど,活動性の指標として有用であったが, C 1 qCICは活動性との有意な関連は認められなかった.補体活性化産物の陽性率は, Bb 16.7%, C 4 d 38.1%, iC 3 b 85.7%, C 5 b-9 64.2%で,補体の活性化は,古典的経路が主体であったが,第二経路の関与も推定された.臨床的に寛解を維持している症例を,正常補体群とCH 50が25U/ml以下の低補体群に分けて比較すると,低補体群でC 5 b-9が有意に高値を示し,潜在的な補体活性化が持続していると考えられた.また,経時的測定例では, C 5 b-9は,疾患活動性と平行して変動する傾向があった.
  • 上田 章, 塚本 浩, 長沢 浩平, 山内 保生, 多田 芳史, 草場 公宏, 仁保 喜之
    1992 年 15 巻 3 号 p. 254-260
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    種々のリウマチ性疾患患者を対象にして,血漿中の補体分解産物C 4 d, iC 3 bおよびBb濃度をモノクローナル抗体を用いたEIAキットを用いて測定し,血清補体価,補体成分および免疫複合体量との関連を検討した.
    一般に低補体血症を示す全身性エリテマトーデスだけでなく,高補体血症を示す慢性関節リウマチや大動脈炎症候群, Behget病などの炎症性結合組織疾患でも血漿中のC 4 d, iC 3 bおよびBbが増加しており,とくにBbの増加するものが多くみられた.全身性エリテマトーデス,混合性結合組織病,多発性筋炎,強皮症および慢性関節リウマチでは補体分解産物の間に相関を認めなかったが,大動脈炎症候群とBehcet病においてC 4 dとiC 3 bとの間に正の相関を認めた.全身性エリテマトーデスにおいてC 4 dが免疫複合体量と正の,血清補体価と負の相関を示したが, iC 3 bとBbは免疫複合体量や血清補体価との相関を示さなかった.以上,種々のリウマチ性疾患において,免疫複合体による補体古典的経路の活性化だけでなく,補体第2経路の活性化をも生じていることが示唆された.今後,各々の症例で補体分解産物を測定することは,補体活性化の関与する病態の解明に有用であると思われる.
  • 秋山 雄次, 鈴木 輝彦, 片桐 敏郎, 石橋 俊子, 今井 史彦
    1992 年 15 巻 3 号 p. 261-268
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    正常人末梢血より単核球を採取し,樹状細胞(DC)・マクロファージ・T細胞に分離し, allogeneicなT細胞concanavalin A (Con A)応答を検討した. T細胞単独では弱い増殖反応しか認められないが, allogeneic DC及びマクロファージの添加により有意にCon A応答は増強された(P<0.01 or 0.05).特に, allogeneic DCの添加は強い増殖反応を示した.又, HLA-DRモノクローナル抗体の添加によりCon A応答は減じられたため, DC上のHLA-DR抗原が重要な役割を果たしていると考えられた. autologous Con A応答と比較すると, allogeneic DC・マクロファージによるCon A応答は同程度あるいはそれ以上の増殖反応を示す傾向であった.
  • 安永 晋一郎, 真弓 武仁, 長沢 浩平, 多田 芳史, 佐藤 浩信, 大塚 毅, 岡村 孝, 仁保 喜之
    1992 年 15 巻 3 号 p. 269-275
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例: 49歳,女性,昭和43年,蝶型紅斑,光線過敏症などより全身性エリテマトーデス(以下SLE)と診断され,プレドニゾロン10~30mg/日にて経過観察中であった.昭和61年頃より両側性間歓性跛行出現し次第に増悪するため平成元年6月,血管造影を施行したところ腹部大動脈腎動脈分岐部直下に完全閉塞を認めた.大腿動脈以下には異常を認めなかった.腹部大動脈血栓症と診断し,ワーファリン投与により経過観察していたが間歌性跛行はさらに増悪したため,平成2年9月,腹部大動脈・右大腿動脈左総腸骨動脈バイパス術を施行し,間歇性跛行は改善した.
    本症例は,ループスアンチコアグラント(以下LAC)陽性であり, LACの易血栓形成性とSLEではきわめて稀な大血管血栓性病変との関連性を考えるうえで非常に興味あるので報告する.
  • 和田 勝也, 大月 亮三, 赤荻 照章, 田中 善紹, 迫 雅美, 原 洋, 林 英夫, 近藤 元治, 弥永 邦彦, 村田 晋一, 加納 正
    1992 年 15 巻 3 号 p. 276-284
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    20年にわたる進行性の多発性関節症を有し, RAHA陽性で慢性関節リウマチとして治療されていた63歳の男性が,両側大腿骨頸部に病的骨折をきたした.股関節周囲組織,大腿骨頸部に高度のアミロイド沈着を認めるとともに,左上腕骨骨頭,左脛骨近位端に骨融解を認めた.その後消化管症状が著明となり,さらにARDSを発症し死亡した.剖検にて肺実質,消化管,関節周囲組織,骨融解部に著しいアミロイド沈着を認めた.本例のアミロイドはAL型で,骨髄中に異型形質細胞増多,尿中にBence-Johnes蛋白を認めたが,骨髄,骨融解部に形質細胞の腫瘍性増殖を認めず,原発性(AL型)アミロイド症と診断した.原発性アミロイド症において骨,関節,肺病変が問題とされることは稀であるので,本例を報告し,併せてアミロイド症における骨,関節,肺病変について文献的に考察を加えた.
  • 浜田 欣哉, 大野 基樹, 東川 光弘, 濱崎 浩之, 杉島 仁, 東谷 澄彦, 船内 正憲, 蓑田 正豪, 堀内 篤, 平岡 聰
    1992 年 15 巻 3 号 p. 285-289
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Evans症候群に橋本病と抗リン脂質抗体症候群を合併した1例を経験した.症例は33歳女性で,昭和61年に当科に入院し, Evans症候群と診断された.退院後,近医で通院加療されていたが,平成2年9月に突然構音障害が出現し,さらに高度の甲状腺機能低下症も認められたため,平成3年5月に当科に再入院した.検査の結果, Evans症候群の増悪および橋本病と抗リン脂質抗体症候群の合併と診断された.構音障害については,頭部MRIで多発性脳梗塞が認められ,抗リン脂質抗体症候群によるものと考えられた.本症例においては,抗カルディオライピン抗体の産生が根本的な病態であり,抗カルディオライピン抗体が血小板および赤血球と交差反応している可能性が考えられた.さらに,橋本病の病因として,甲状腺組織との交差反応性も疑われた.
  • 立石 睦人, 窪田 哲朗, 上阪 等, 奥田 正治, 青木 延雄, 西戸 孝昭, 宮坂 信之
    1992 年 15 巻 3 号 p. 290-296
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    シェーグレン症候群(SjS)を合併し,原因不明の胸水貯留を反復した,非定型的なクローン病の症例を経験した.症例は59歳女性,昭和45年頃より反復性の多関節炎がみられ,昭和53年には一過性の血便および原因不明の左胸水貯留を認めている.昭和62年,吐血,肛門出血のため当科入院,結腸病変は認めなかったが,口腔内・食道にびらん,潰瘍を,また肛門にも潰瘍性病変を認め,同部位生検の結果,非乾酪性類上皮性肉芽腫の所見を得たことから,非定型的クローン病と診断された.昭和63年3月,労作時息切れが出現したため,再度当科入院.入院時,多発性口腔内潰瘍,移動性の多関節炎,右胸水貯留がみられ,検査所見では血沈亢進,血清学的には高γグロブリン血症,抗核抗体強陽性,抗ds-DNA抗体弱陽性などの所見を認めた.眼科的検索,口唇小唾液腺生検,耳下腺造影の結果よりSjSの合併が確認された.サラゾスルファピリジンの投与開始後,胸水,多関節炎はすみやかに消失,口腔内病変も軽快傾向を示した.クローン病とSjSの合併は稀であり,両者の関連性および成因につき文献的考察を加え報告する.
  • 大迫 聡美, 鎌谷 直之, 柏崎 禎夫, 遠藤 平仁, 近藤 啓文
    1992 年 15 巻 3 号 p. 297-304
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    手指先端の壊疽を伴い,ビタミンA内服後皮疹及び末梢循環不全が著明に改善した皮膚筋炎の1例を報告する.
    症例は39歳の女性.手掌,顔面の紅斑,発熱で発症し,その後次第に筋力低下を伴うようになった.ステロイド剤治療に抵抗し,サイクロフォスファマイド,アザチオプリン投与により,筋力はほぼ正常化した.しかし,その後手指循環不全の増悪化に伴い左第5指先端に壊疽が出現し,筋生検と血管造影により,血管炎によることを証明した.ビタミンAの内服を開始したところ,壊疽部は自然脱落し,皮疹と末梢循環不全が著明に改善した.
    皮膚筋炎に明らかな血管炎を伴い,皮疹にビタミンAが奏功した,成人では極めて珍しい症例で,皮膚筋炎の病態考察上示唆に富むものと考えられた.
  • 藤沢 信, 白井 輝, 五十嵐 俊久, 松崎 道男, 松永 敬一郎, 本村 茂樹, 石ヶ坪 良明, 谷 賢治, 大久保 隆男
    1992 年 15 巻 3 号 p. 305-309
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1982年にmyelodysplastic syndrome (MDS)の概念が提唱されて以来,種々の報告がなされ,現在ではclonal diseaseとして考えられている.本症例は, 75歳女性,既往歴,家族歴とも特に問題なく,また,特殊薬剤の使用もなかった. 20年来のRA経過中にMDSを合併した症例であり,過去にMDSとRAの合併は我々の検索した限りでは4例しか報告されておらず,稀な症例といえる.また, RAの死亡原因には,悪性腫瘍,白血病,悪性リンパ腫等も少なくないとされている,しかし,その発生機序は未だ不明である.
    RAの免疫学的異常が,どの様にMDS(リンパ球系も含めたclonal disease)の発生機序に関与しているかを解明するためにも,今後症例を積み重ね検討することが望まれる.
  • 鈴木 隆弘, 小池 隆夫, 市川 健司, 杉山 隆夫, 高林 克日己, 冨岡 玖夫, 吉田 尚
    1992 年 15 巻 3 号 p. 310-316
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    血清抗カルジオリピン抗体と急性心筋梗塞発症の関係を全身性エリテマトーデス患者176例を対象に検討した.抗カルジオリピン抗体陽性者では59例中5例に急性心筋梗塞が発症したのに対し陰性者では117例中1例のみしか発症せず,両者の間に有意な差が認められた(p<0.05).心筋梗塞症例では抗カルジオリピン抗体は軽~中等度陽性を示しており,抗体価の高低と心筋梗塞の間に相関は認められなかった.ループスアンチコアグラントは測定した3例では陰性であった。1例を除き心筋梗塞の発症はSLEの活動性が低いと考えられる時期にみられた.心筋梗塞と抗RNP抗体,抗Sm抗体,抗SS-A抗体との関連も認められなかった.いずれの症例も冠動脈疾患の危険因子は軽度で,ステロイド投与量との関連も認められなかった.
  • 片岡 幹男, 片木 幸恵, 細谷 茂衛, 長田 建, 多田 慎也, 高橋 清, 中田 安成, 大熨 泰亮, 木村 郁郎
    1992 年 15 巻 3 号 p. 317-325
    発行日: 1992/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例: 28歳女性.主訴:胸部異常陰影.会社検診にて胸部異常陰影を指摘され,第1回目入院となった.この時胸部陰影の他に汎血球減少が認められた.肺結核の疑いにて5ヵ月間抗結核療法を行うも陰影は改善しないため,気管支肺胞洗浄(BAL)および経気管支的肺生検(TBLB)が施行された. BALではリンパ球増多, CD 3, CD 8陽性細胞の増加とCD 4/CD 8比の低下が認められた.また肺胞マクロファージ機能のうち遊走能の亢進と水解酵素活性の低下が認められた. TBLBでは器質化肺炎の像を呈していた.そこでステロイドによる治療を行ったところ,胸部陰影は改善した.その後外来にて経過観察を行っていたが,発熱するようになり第2回目入院となった.この時肝脾腫があり,検査では貧血,白血球減少, LDHの高値,凝固検査の異常を認めた.入院後皮膚に発赤を伴う結節が出現し,同部を生検したところ,非化膿性小葉性脂肪織炎を認めた.組織像,臨床症状よりcytophagic histiocytic panniculitis (CHP)と診断した.ステロイドを増量するも症状改善しないため, ciclosporin Aを投与したところ,症状,検査所見の劇的な改善がみられた. BALにてリンパ球増多が認められ, ciclosporin Aが奏功したことより,本疾患ではマクロファージのみならずリンパ球の異常も示唆された.
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