抄録
免疫グロブリン(IG)療法の有する補体学的活性について検討するため,重症肺感染症患者11症例にのべ12回のIG療法を行い,末梢血の補体溶血活性,補体蛋白量,補体分解産物の変動を経時的に検討した. IG療法によりACH 50は低下し, C3, C9やB因子の蛋白量は減少した.またBbは早期に増加し, iC 3 bはこれに遅れて増加した. CH 50やC4dの変動は認められなかった.これらの事実より, IG療法には補体第2経路の活性化を充進させる作用があるものと考えられた.またIGには,直接的なB因子の活性化作用があることもin vitroの実験から示された.これらの現象から推定されるIGの有する生物学的作用は,補体系を介した効率的な抗菌作用の促進と補体活性の制御であろうが,同時に本研究で確認されたBb, iC 3 bと言った補体分解産物の有する生物学的活性に関する検討が重要と思われた.