日本臨床免疫学会会誌
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15 巻, 4 号
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  • 市川 陽一
    1992 年 15 巻 4 号 p. 327-336
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 諏訪 昭, 三森 経世, 浜 信昭, 藤井 隆夫, 平形 道人, 大曽根 康夫, 秋月 正史, 本間 光夫
    1992 年 15 巻 4 号 p. 337-345
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    強皮症-多発性筋炎重複(PSS-PM overlap)症候群の疾患標識抗体である抗Ku抗体の対応抗原(Ku抗原: p70/p80)をコードするcDNAの大腸菌発現産物を精製し,新たな抗体検出法を開発した. β-galactosidaseとの融合蛋白(fp70およびfp80)を用いたELISAで,検出された抗Ku抗体はoverlap症候群,特にPSS-PM overlap症候群において陽性率・抗体価がともに高かった.これらの成績は,本邦における従来の抗Ku抗体の出現頻度と同様の傾向を示した.また,精製β-galactosidaseを用いたELISAでは,対象とした血清の全例で抗β-galactosidase抗体の陽性率・抗体価がともに低く, β-galactosidaseとKu抗原の融合蛋白を抗原として用いた測定法においても抗β-galactosidase抗体の影響は少ないことが示された.
  • 小野寺 秀記, 竹村 周平, 笠松 美宏, 辻本 庄司, 中原 梨佐, 一尾 直子, 土井 たかし, 岡本 雅之, 柳田 国雄, 福田 亙, ...
    1992 年 15 巻 4 号 p. 346-354
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    免疫グロブリン(IG)療法の有する補体学的活性について検討するため,重症肺感染症患者11症例にのべ12回のIG療法を行い,末梢血の補体溶血活性,補体蛋白量,補体分解産物の変動を経時的に検討した. IG療法によりACH 50は低下し, C3, C9やB因子の蛋白量は減少した.またBbは早期に増加し, iC 3 bはこれに遅れて増加した. CH 50やC4dの変動は認められなかった.これらの事実より, IG療法には補体第2経路の活性化を充進させる作用があるものと考えられた.またIGには,直接的なB因子の活性化作用があることもin vitroの実験から示された.これらの現象から推定されるIGの有する生物学的作用は,補体系を介した効率的な抗菌作用の促進と補体活性の制御であろうが,同時に本研究で確認されたBb, iC 3 bと言った補体分解産物の有する生物学的活性に関する検討が重要と思われた.
  • 岡川 和人, 小阪 昌明, 高木 敏之, 酒井 力, 高木 美穂, 斎藤 史郎
    1992 年 15 巻 4 号 p. 355-361
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    治療抵抗性であったIgG骨髄腫の2症例(67歳/女性, 74歳/男性)にIFN-αを投与したところ, Coombs抗体が陽性となり,自己免疫性溶血性貧血がみられた.骨髄腫患者ではresidual Ig濃度が著減し,抗原の刺激に対して抗体の産生能も通常低下することより,本2症例における自己抗体の発現には, IFN-αの投与が関与していることを示唆する.我々が調べたかぎりでは従来このような報告はみられない.
  • 津田 浩史, 梅咲 直彦
    1992 年 15 巻 4 号 p. 362-369
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    In vitro sensitization (IVS)を用い自己癌細胞に対し強い細胞障害性を持つcytotoxic T lymphocytes (CTL)を大量に誘導し得る条件につき検討するとともに,婦人科癌患者4例に対しその臨床応用を試みた. CTL誘導は婦人科癌患者8例を対象とし,患者単核球とMMC処理癌細胞との前培養後rIL 2を添加して行った.その際(1)培養時のrIL 2濃度の検討では0.02, 0.2, 2.0U/mlまでは細胞障害性,細胞増殖率は上昇傾向を示したが,それ以上の濃度では変化がなかった. (2)CTL感作時の癌細胞濃度は上昇させるに従い,増殖率,細胞障害性は上昇した.以上CTLの誘導条件として培養時のrIL 2濃度は2U/ml, CTL感作時の単核球:癌細胞は10:1が良好な結果となった.また臨床応用の検討では癌性腹膜炎症例に対しては腹水消失,腹水細胞診陰性化,腹水減少等,全例である程度の効果が認められたが,固形腫瘍の縮小には至らなかった.
  • 臨床病理学的検討
    土肥 和紘, 梅村 康義, 藤本 隆, 石川 兵衞, 辻井 正, 杉岡 五郎, 中沼 安二
    1992 年 15 巻 4 号 p. 370-377
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    目的: Sjögren症候群(SS)に合併する肝病変としては慢性持続性肝炎(CPH),慢性活動性肝炎(CAH)や原発面胆汁性肝硬変(PBC)などが知られている.しかしながらSSに合併する肝病変について少数の報告をみるにすぎず,現在でも全容について明ちかにされているとはいえないようである.そこで,われわれはSSに合併する肝病変の実態を明確にする目的で自験例について検討した.
    方法:厚生省特定疾患「シェーグレン病」調査研究班の診断基準を満足するSS確実例162例中,臨床検査でトランスアミナーゼ上昇などの肝機能障害を示すが,輸血歴,アルコール多飲歴がなく, B型肝炎ウイルスマーカー陰性の15例を対象に唾液腺生検や肝生検などを実施した.
    結果: SS 162例中,肝機能障害が認められた15例のうち14例に肝生検を施行したが, CPHが4例, CAHが5例, PBCが5例に認められた.厚生省特定疾患「シェーグレン病」調査研究班診断基準の唾液腺組織に特徴的な所見を示す症例の頻度は,肝機能障害を伴わないSSでは103例中50例(49%)であったのに対し,肝機能障害を伴うSSでは13例中11例(85%)であった.抗C型肝炎ウイルス関連抗体は, CPHおよびCAHの6例中5例に陽性であったのに対し, PBCの3例全例が陰性であった.
    考察:厚生省特定疾患「シェーグレン病」調査研究班診断基準の唾液腺組織に特徴的な所見を示す症例の頻度は,肝病変非合併例に比して合併例で有意に高かったといえる. SSに合併する慢性肝炎はC型肝炎ウイルス感染によるものが多く, SSに特異的な肝合併症はPBCだけといえるかもしれない.
  • 南木 敏宏, 小池 竜司, 丸山 俊昭, 松岡 浩, 立石 睦人, 奥田 正治, 宮坂 信之
    1992 年 15 巻 4 号 p. 378-384
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    低用量methotrexate (MTX)間歌投与療法にて汎血球減少をきたした慢性関節リウマチ(RA)の1例を経験したので報告する.症例は39歳女性. 1983年発熱,咽頭痛が出現.翌年より発熱に伴い,手のこわばり,多関節痛がみられ,成人発症Still病を疑われ, prednisolone (PSL)の投与を受けていた. 1990年10月当科入院.朝のこわばり,増殖性滑膜炎を認め, RAと診断した.同時に二次性アミロイドーシスによる腎機能障害の合併も認められた. PSLの減量が困難なためMTX 5mg/週,筋注を開始.一旦は症状の改善を認めるも, MTXの増量に伴い6週目頃より重篤な汎血球減少が進行. MTX中止, leucovorin, G-CSF投与にて軽快した.
    本例において汎血球減少をきたした機序としては,二次性アミロイドーシスによる腎障害,低アルブミン血症に加えて, MTXに対するリンパ球刺激試験が陽性であり感作リンパ球を介する免疫学的機序の関与も疑われた.
  • 渡辺 浩, 落合 浩暢, 児玉 栄一, 鈴木 修三, 武田 功, 渡部 則也, 小野 重明, 海瀬 俊治, 西間木 友衛, 粕川 禮司
    1992 年 15 巻 4 号 p. 385-390
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は37歳の女性. 1986年11月日光過敏,蝶形紅斑,抗核抗体陽性,抗DNA抗体陽性から全身面エリテマトーデスと診断され, prednisolone投与を受けた。1989年10月から両下肢脱力感出現し精査加療目的に同年12月当科入院した.抗核抗体2,560倍,抗cardiolipin抗体陽性で,頭部CT上多発性脳梗塞が認められ, PSL 40mg/日の投与を開始した.症状改善傾向にあるも患者は服薬を中止し, 1990年4月退院した.同年5月,両下肢の対麻痺,胸椎11番以下の全知覚障害と膀胱直腸障害が出現し再入院した. aCLは高力価であり,抗リン脂質抗体が強く関与した横断性脊髄障害を合併したものと考え,血漿交換療法,副腎皮質ステロイド剤パルス療法,大量γ-globulin療法,免疫抑制剤投与を行い, aCL価は低下したが,神経症状はほとんど改善しなかった.早期の治療が横断性脊髄障害の諸症状の改善に重要である.
  • 前島 悦子, 辻本 妃早子, 藤原 滋人, 山田 陽一, 湯川 進, 野本 拓, 板倉 徹
    1992 年 15 巻 4 号 p. 391-396
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(以下SLE)に下垂体腺腫を合併した稀な1例を報告した.症例は1987年にSLEと診断された32歳の女性で, 1990年4月に視力,視野障害を主訴として,当院へ再入院となった.頭部CTでは,下垂体に境界明瞭で均質な腫瘤が認められた. MRIでも下垂体に腫瘤を認め,その一部は蝶形骨洞にもおよんでいた.内分泌学的検査では, TSH, T3, T4,プロラクチンが軽度増加していたのみであった. 4月19日腫瘍の全摘が行なわれた.術後本例の視力,視野障害はともに著明に改善し,抗核抗体は陰性化した.女性ホルモンに限らず,なんらかの内分泌学的異常が存在することが, SLEの免疫学的異常に影響をおよぼす可能性も考えられた.下垂体腺腫を合併したSLEの症例は極めて稀であり貴重な症例と思われ,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 丸山 俊昭, 福田 哲也, 立石 睦人, 窪田 哲朗, 奥田 正治, 佐藤 和人, 宮坂 信之
    1992 年 15 巻 4 号 p. 397-404
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ,シェーグレン症候群に合併した封入体筋炎の1例を報告する.症例は53歳男性. 51歳時,筋力低下にて入院.近位筋群の筋力低下と筋原性酵素値の上昇,筋生検にて著明な炎症細胞浸潤を伴う筋原性変化を認め,慢性関節リウマチとシェーグレン症候群に合併した多発性筋炎と診断. prednisolone (PSL) 40mg/日投与し,筋力は回復,筋原性酵素も正常化した.しかし, PSLを10mg/日に漸減した頃(10ヵ月後)より, CPKの上昇と筋力低下,筋萎縮の進行を認め, cyclophosphamide 50mg/日投与したが改善せず, 2回目の入院となった.近位筋群に加え,遠位筋群にも筋力低下と筋萎縮が明らかで,再度,筋生検を施行したところ, rimmed vacuoleが目立ち,電顕にてfilamentous inclusionを認め,封入体筋炎の確定診断が得られた.自己免疫疾患に封入体筋炎が合併したとする報告は少なく,免疫組織学的所見と併せて報告する.
  • 藤波 睦代, 佐藤 和人, 作山 理子, 小林 茂人, 柏崎 禎夫
    1992 年 15 巻 4 号 p. 405-413
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    父親が強直性脊椎炎(AS),次男がReiter症候群であるHLA-B 27陽性Seronegative spondyloarthropathyの親子例を経験した.
    症例1は54歳男性.アキレス腱付着部痛を主訴として来院.クラミジア総抗体価8倍. X-P上両側仙腸関節の硬化像,腰椎のsquaring,胸椎の著明なsyndesmophyteを認め,アキレス腱付着部位にenthesopathyを認めた,再発性のぶどう膜炎を併発し,以上よりASと診断した.症例2は25歳男性,症例1の次男.尿道炎後に増悪した腰痛及び膝関節痛にて来院.クラミジア総抗体価64倍, X-P上右仙腸関節炎を認め, Reiter症候群と診断した.
    HLA-B 27陽性Seronegative spondyloarthropathyの症例は本邦においても稀ならずみられるが,家族発症例の報告は少なく現在までに8組があるのみである. ASとReiter症候群の組合せは今までにない.これらの疾患の発症機序にB 27と微生物感染の関与が推測されているが,家族発症例を検討することは, B 27以外の遺伝因子や環境因子などの関与を検討するうえで重要と考えられる.
  • 中島 亜矢子, 山下 浩子, 藤波 睦代, 佐藤 和人, 柏崎 禎夫
    1992 年 15 巻 4 号 p. 414-419
    発行日: 1992/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群の経過中,結節性紅斑が出現し,組織所見で小血管の巨細胞を伴う肉芽腫性血管炎を認めた1例を報告する.
    症例は, 18歳,女性.昭和54年,発熱・高血圧が出現,大動脈造影所見より大動脈炎症候群と診断され,ステロイド剤による治療を受けていた.平成元年頃より,小康状態であったが, prednisolone 10mgから9mgへ減量したところ,両下腿・足背に結節性紅斑が出現した.紅斑出現1週間後の組織所見では,小血管レベルの血管炎と巨細胞を伴う肉芽腫性変化を認めた.
    わが国では大動脈炎症候群と結節性紅斑の合併は9例の報告があるのみで,組織所見を検討した報告はない.本症例では組織所見上,巨細胞性肉芽腫性血管炎を認めたことは,大動脈炎症候群の発症機序を考察する上で興味深いと考えられた.
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