大動脈炎症候群の経過中,結節性紅斑が出現し,組織所見で小血管の巨細胞を伴う肉芽腫性血管炎を認めた1例を報告する.
症例は, 18歳,女性.昭和54年,発熱・高血圧が出現,大動脈造影所見より大動脈炎症候群と診断され,ステロイド剤による治療を受けていた.平成元年頃より,小康状態であったが, prednisolone 10mgから9mgへ減量したところ,両下腿・足背に結節性紅斑が出現した.紅斑出現1週間後の組織所見では,小血管レベルの血管炎と巨細胞を伴う肉芽腫性変化を認めた.
わが国では大動脈炎症候群と結節性紅斑の合併は9例の報告があるのみで,組織所見を検討した報告はない.本症例では組織所見上,巨細胞性肉芽腫性血管炎を認めたことは,大動脈炎症候群の発症機序を考察する上で興味深いと考えられた.