日本臨床免疫学会会誌
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HLA-B 27陽性のSeronegative spondyloarthropathyの父子例
藤波 睦代佐藤 和人作山 理子小林 茂人柏崎 禎夫
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1992 年 15 巻 4 号 p. 405-413

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抄録

父親が強直性脊椎炎(AS),次男がReiter症候群であるHLA-B 27陽性Seronegative spondyloarthropathyの親子例を経験した.
症例1は54歳男性.アキレス腱付着部痛を主訴として来院.クラミジア総抗体価8倍. X-P上両側仙腸関節の硬化像,腰椎のsquaring,胸椎の著明なsyndesmophyteを認め,アキレス腱付着部位にenthesopathyを認めた,再発性のぶどう膜炎を併発し,以上よりASと診断した.症例2は25歳男性,症例1の次男.尿道炎後に増悪した腰痛及び膝関節痛にて来院.クラミジア総抗体価64倍, X-P上右仙腸関節炎を認め, Reiter症候群と診断した.
HLA-B 27陽性Seronegative spondyloarthropathyの症例は本邦においても稀ならずみられるが,家族発症例の報告は少なく現在までに8組があるのみである. ASとReiter症候群の組合せは今までにない.これらの疾患の発症機序にB 27と微生物感染の関与が推測されているが,家族発症例を検討することは, B 27以外の遺伝因子や環境因子などの関与を検討するうえで重要と考えられる.

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