日本臨床免疫学会会誌
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摘脾後にIgG 2が異常高値を呈した脾機能亢進症の1例
古賀 広幸久野 建夫宮崎 澄雄
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1993 年 16 巻 1 号 p. 75-80

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抄録

摘脾術は脾機能亢進症などの疾患で行われ,摘脾後の免疫異常は種々報告されているが, IgG subclassの異常の報告はない.症例は15歳男子.摘脾後1ヵ月のIgG subclassではIgG 2がIgG 1よりも増加し, 6ヵ月後に正常なIgG subclassとなった症例を経験したので報告する.
10歳のときに多発性骨〓腫のために骨移植を受ける.その頃より血小板が徐々に減少しだし12歳頃より鼻出血,紫斑が多くなり,血小板数は6×104lであった.入院後,脾腫が急速に増大し,血小板が減少したため脾機能亢進症と診断し摘脾術を施行した.摘脾前のIgGは559 mg/dl, IgGのsubclassはIgG 1 350 mg/dl, IgG 2 181 mg/dlであったが,摘脾1ヵ月後にはIgG 1 637 mg/dl IgG 2 895 mg/dlとIgG 2がIgG 1より増加していた.摘脾3ヵ月後でもIgG 2がIgG 1より増加していたが,摘脾6ヵ月後にはIgG subclassは正常になった.この原因としてIgG subclass産生細胞,形質細胞の分布が臓器により一様でないためと考えられた.

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