日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
16 巻, 1 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 鈴木 博史
    1993 年16 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 滝口 智夫, 福徳 雅章, 荒井 俊秀, 吉岡 律子
    1993 年16 巻1 号 p. 11-19
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒトPBMCの表面形質をみると,大多数はCD3+TCRα/β+で,その他約20%前後のB細胞を除くといわゆるminor populationとしてCD3+γ/δ+細胞やCD3-LGLが認められる. CD3-細胞にはProT細胞といわれるCD7+TdT*細胞や, PreT細胞といわれるCD2+CD7+CD38+細胞,または表面CD3-だが細胞内CD3+の細胞も一部含まれている.しかし,多くはCD3-LGLといわれるものでNK活性をもっており,臨床上これらの増多症に遭遇して苦慮する場合がある.これらCD3-CD2+NK細胞の性質を研究するため正常ヒト末梢血中から抗CD2と補体処理後, rIL-1とrIL-2とともに培養することによって表面形質ではこれに一致した細胞を増殖させ,さらにcloningをしてそのNMRC活性を調べることができた.その結果, CD3-LAK細胞はCD2とCD56がNMRC活性に深い関係にあることが推察された.
  • 石黒 精, 新保 敏和, 福島 啓太郎, 阿部 雅章, 高橋 比路美, 中畑 龍俊, 小宮山 淳
    1993 年16 巻1 号 p. 20-26
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    コナヒョウヒダニ(Df)は小児気管支喘息の重要なアレルゲンである. Df RASTが強陽性の喘息児を対象に, Df抗原の刺激により産生されるcolony-stimulating activity (CSA)について検討した.非発作時に採取した末梢血単核球を, Df粗抗原で刺激して得た培養上清中のCSAをin vitroコロニー法により測定した. Df抗原で刺激された患児の単核球は,無刺激時に比べ有意に多量のeosinophil (Eo)-CSAとgranulocyte-macro-phage (GM)-CSAを産生したが,対照群では刺激によるCSA産生の増強はみられなかった.また, endotoxinを不活化するpolymyxin Bを添加してもCSA産生は影響されなかった.しかも,刺激時に産生されるEo-CSAとGM-CSAは患児群では対照群に比べ有意に高値であった.以上より, Dfアレルギーを有する喘息児の末梢血単核球は, Df抗原の刺激によりEo-CSAとGM-CSAを健常児より過剰に産生しうる状態にあると考えられた.
  • 西口 隆偉, 橋本 武則, 実川 友史, 平田 充彦
    1993 年16 巻1 号 p. 27-34
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膠原病150例(SLE; 70例, primary SjS; 38例, PSS; 32例, MCTD, PM/DM; 10例)についてELISA法による抗核抗体(ANA)を測定し,蛍光抗体間接法(IF)との比較を行い,その有用性を検討した. ELISA法は,抗原が異なる3種類の方法を用い検討した. cut off値をELISA法3.0 units, IF法20 dils以上としたとき,各方法の感度,特異性,一致率はANA-I法でそれぞれ82.1%, 80.0%, 82.0%, ANA-II法でそれぞれ88.6%, 70.0%, 87.3%, ANA-III法でそれぞれ97.9%, 66.7%, 96.0%の結果を示し,さらに, ANA-III法の定量値は,他の2法と比較し有意(p<0.01)に高値を示した. ELISA ANA-III法とIF法との相関は, SLE n=70, r=0.618, primary SjS n=38, r=0.591, PSS, MCTD, PM/DM n=42, r=0.682と良好な結果であった.また, ELISA ANA-III法は,他の2法と比較し抗セントロメア抗体および抗PCNA抗体などの検出が可能であった.以上の成績より, ELISA ANA-III法は, ANA検出のスクリーニング法として,その高い有用性が認められた.
  • 大根田 滋子, 杉田 憲一
    1993 年16 巻1 号 p. 35-43
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    伝染性単核症児のリンパ球表面マーカーを検索した. CD4+細胞は19.9±9.0%, CD8+細胞は59.4±6.9%, CD4/CD8比は0.29±0.16でCD8+細胞の増加, CD4/CD8比の低下を認めた, HLA-DR+ CD8+細胞は81.1±8.9%, HLA-DR+ CD4+細胞は64.2±15.0%で,特に, HLA-DR+ CD8+細胞の増加が顕著だった, CD2R+細胞およびIL2Rα+ (CD25+)細胞の増加はなかったが, IL2Rβ+ CD3+細胞は40.8±22.6%と増加していた.さらに, CD7+細胞の減少, CD45RO+ CD8+細胞の増加を認めた.これはCD8+T細胞の活性化,メモリー型細胞の増加を意味している所見と考えた.
    単核球にIL2またはPHAを添加し,増殖能を3H-thymidineの取り込みにより検討した. IL2による増殖は大きかったが, PHAでは小さかった. IL2ではHLA-DR+ CD8+細胞の増加がみられ,その増加した細胞はCD7+であった. PHA刺激ではその数は少ないが, HLA-DR-細胞がHLA-DR+細胞に, CD7+の蛍光強度の増加がみられた.また,培養液のみで48時間培養したところ,対照のリンパ球に比較して患児のリンパ球は死滅する比率が高かった.
  • 気管支肺胞洗浄液中の細胞成分と白血球からのヒスタミンおよびロイコトリエンC4, B4遊離
    谷崎 勝朗, 貴谷 光, 岡崎 守宏, 御船 尚志, 光延 文裕, 木村 郁郎
    1993 年16 巻1 号 p. 44-51
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の病態は,いろいろの要素によって影響を受ける.その主要要素の1つは,血清IgE値であり,他の1つは,加齢による変化である.そして,この2つの主要要素が互いに影響しあうことによって,それぞれ異なった喘息の病態が形成される.本研究では,喘息の病態として特徴的なヒスタミンやロイコトリエン遊離,および炎症性細胞反応に対する血清IgE値および加齢の影響について若干の検討を加えた.
    対象および方法:対象としては,気管支喘息64例を選んだ.気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞成分の出現頻度は,塗抹標本上で上皮細胞を除いて細胞を500個観察し,それぞれの細胞の出現頻度を百分率で表した.また,白血球からのヒスタミンおよびロイコトリエンC4, B4遊離は, Ca ionophore A 23187(1μg)刺激により観察した.そして,ヒスタミンは自動分析装置により,またロイコトリエンはHPLCにより測定した.
    成績:吸入抗原に対するIgE抗体の陽性頻度は, 20~39歳の年齢層では血清IgE値の高低による差はみられなかったが, 40~59歳の年齢層では,血清lgE値の高い(500IU/ml以上)症例において,低い症例(200IU/ml以下)に比べ有意に高い傾向を示した. BALF中リンパ球の出現頻度は, 60歳以上で血清IgE値が高い症例において, 20~39歳および40~59歳の年齢層の症例に比べ,有意に高い値を示した.
    白血球からのヒスタミン遊離は, 20~39歳および60歳以上の年齢層では,血清IgE値の高い症例において,低い症例に比べ有意に高い値を示した.また,ロイコトリエンC4遊離も20~39歳の年齢層では,血清IgE値の高い症例において,低い症例に比べ有意に高い傾向を示した.しかし,ロイコトリエンB4遊離には,血清IgE値や加齢による差はみられなかった.
  • 穂坂 茂, 間中 久美, 岡田 純, 近藤 啓文, 柏崎 禎夫
    1993 年16 巻1 号 p. 52-57
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    &全身性エリテマトーデス(SLE)は男性にはまれな疾患である.今回,われわれは男性SLE 17例を対象に,その臨床像,血清学的および内分泌学的検討を行った.発症年齢,観察期間を一致させた女性SLEと比較して,男性例では日光過敏症が有意に多く(p=0.04),リンパ節腫脹と中枢神経障害がやや多かった.腎障害は同率であったが,ネフローゼ症候群が男性に多かった.白血球減少は女性例に有意に多かった(p=0.07)が,血清学的検査で男女間に有意差は認められなかった.治療内容では,男性例により多くのステロイドホルモンが必要とされた,われわれの男性SLEは女性例に比してやや重症である傾向がみられた.
    血中性ホルモン値では,従来報告されているestrogenの上昇を示す症例はなく,一部の症例で大量ステロイド剤や免疫抑制剤による精腺障害,視床下部-下垂体機能障害が疑われた.
  • 松永 敬一郎, 白井 輝, 五十嵐 俊久, 谷 賢治, 菅 千束, 池沢 善郎, 大久保 隆男
    1993 年16 巻1 号 p. 58-63
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    突発性難聴に対するステロイド療法直後より,掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)およびバセドウ病を発症した症例を経験した.症例は55歳女性.掌蹠膿疱症と診断されてから約1ヵ月後に突発性難聴を併発.ステロイドによく反応し聴力はほぼ正常に回復したが腰痛,胸鎖骨痛,発汗,動悸が出現した.骨シンチ, T3, T4の高値, TSHの低下,甲状腺シンチよりPAOおよびバセドウ病と診断した.メチマゾール(MMI)と非ステロイド性抗炎症剤の投与にてPAO,バセドウ病は軽快していたが,金属アレルギー検索を目的としてパッチテストを施行したところPAOおよびバセドウ病が増悪した. MMIを増量し,パッチテストで強陽性を示したアンチモンを除去する目的にて歯科治療を施行した.歯科治療後約1年間PAOの再燃は認められなかったが,バセドウ病は増悪した.バセドウ病に対してMMIを単独再投与したところPAOも良好にコントロールされた.
  • 武田 誠司, 田原 久史, 戸原 震一, 小貫 圭介, 向野 賢治, 荒川 規矩男
    1993 年16 巻1 号 p. 64-68
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    長期にわたって持続する原因不明の疲労感,微熱などに苦しむ23歳の男子大学院生が精査加療目的で当科入院となった.
    6ヵ月以上続く全身倦怠感,微熱,咽頭痛,筋力の低下,筋痛,頭痛,思考力・集中力の低下などが認められ, Holmesらの診断基準1)に従い, chronic fatigue syndrome (CFS)と診断した.細胞性免疫検査でCD4/CD8比が持続的に低下していたことが特徴的であり,本症候群には何らかの免疫不全状態が基盤にあるものと考えられた.また,リムルステストが陽性であったが,炎症所見はみられず細菌感染に伴うエンドトキシン血症は否定的であり,約9ヵ月の間隔をおいて再検しても陽性で,病態との関連について注目された.
  • 黒澤 一代, 福井 光文, 相沢 信, 柏崎 禎夫, 外山 圭助
    1993 年16 巻1 号 p. 69-74
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当初,慢性関節リウマチ(RA)と診断され,リンパ節生検所見から全身性エリテマトーデス(SLE)と診断し得た1例を経験したので報告する.症例は43歳女性.多関節痛にて発症し近医にてRAと診断され,非ステロイド系抗炎症剤,サラゾスルファピリジン,チオプロニンを順次投与されたが軽快しなかった.発熱,頸部リンパ節腫脹,頸部筋力低下が出現し,当院入院した.筋力低下,筋原性酵素の上昇,抗n-RNP抗体陽性より,混合性結合組織病(MCTD)あるいはSLEと多発性筋炎の重複症候群の可能性も考えられたが,抗核抗体陽性,抗DNA抗体高値, LE細胞現象陽性に加え,リンパ節生検にて壊死性リンパ節炎様所見およびヘマトキシリン体が証明されSLEと診断した.本症例のようにRAあるいはMCTDなどとの鑑別診断の困難な例に対しては,リンパ節生検は診断上有用な手段と考えられた.
  • 古賀 広幸, 久野 建夫, 宮崎 澄雄
    1993 年16 巻1 号 p. 75-80
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    摘脾術は脾機能亢進症などの疾患で行われ,摘脾後の免疫異常は種々報告されているが, IgG subclassの異常の報告はない.症例は15歳男子.摘脾後1ヵ月のIgG subclassではIgG 2がIgG 1よりも増加し, 6ヵ月後に正常なIgG subclassとなった症例を経験したので報告する.
    10歳のときに多発性骨〓腫のために骨移植を受ける.その頃より血小板が徐々に減少しだし12歳頃より鼻出血,紫斑が多くなり,血小板数は6×104lであった.入院後,脾腫が急速に増大し,血小板が減少したため脾機能亢進症と診断し摘脾術を施行した.摘脾前のIgGは559 mg/dl, IgGのsubclassはIgG 1 350 mg/dl, IgG 2 181 mg/dlであったが,摘脾1ヵ月後にはIgG 1 637 mg/dl IgG 2 895 mg/dlとIgG 2がIgG 1より増加していた.摘脾3ヵ月後でもIgG 2がIgG 1より増加していたが,摘脾6ヵ月後にはIgG subclassは正常になった.この原因としてIgG subclass産生細胞,形質細胞の分布が臓器により一様でないためと考えられた.
  • 多田 芳史, 草場 公宏, 成富 由司, 林田 功, 佐藤 浩信, 山野 裕二郎, 香月 一朗
    1993 年16 巻1 号 p. 81-86
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は52歳の女性. 1982年に眼瞼下垂,筋脱力が出現し重症筋無力症と診断,また同時に甲状腺機能亢進症を指摘され,抗コリン剤と抗甲状腺剤投与により経過観察されていた. 1985年に胸腺摘除術および甲状腺亜全摘術を受け,以後は無治療で症状は消失していた. 1989年5月頃より両側手指の腫脹,疼痛および右膝,足関節痛が出現,また白血球の減少が認められたため入院精査を行った. stage III, class 2の慢性関節リウマチと診断,さらに白血球は1,200~2,800/mm3,顆粒球は300~1,000/mm3と低下し,腹部超音波検査にて中等度の脾腫を認め,以上の所見よりフェルティ症候群と診断した.抗核抗体,抗DNA抗体および抗アセチルコリンレセプター抗体が陽性であった.両疾患の合併はほとんど報告がないが,自己免疫性疾患の重複や病像の広がりを考える上で興味ある症例と考えられ報告した.
feedback
Top