日本臨床免疫学会会誌
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原発性胆汁性肝硬変が疑われた83歳の1男性例-抗ミトコンドリア抗体と鑑別を要する新しい抗p95 cytosol抗体-
宮地 清光鷹野 佐恵子松嶋 広保坂 洋夫宮川 浩鈴木 王洋川越 光博権田 信之柴田 実上野 幸久
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1993 年 16 巻 3 号 p. 236-243

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抄録
症例は69歳時,会社の検診で肝機能異常を指摘された. 75歳時,胆道系酵素が高値のため, B病院肝臓外来へ紹介された. ERCPで肝外胆道系疾患はなく,抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性のためPBCが疑われ, 77歳時肝生検目的のため入院となった.肝生検像では, PBCの所見は乏しく, chronic persistent hepatitisの所見のみであった.本抗体の対応抗原が免疫沈降法により95kDaの蛋白で,細胞質のcytosol分画に存在していることから,本抗体を抗p95 cytosol (C)と改名した.
本症例はその後の免疫学的検査では, AMAと異なる抗p95 C抗体陽性の他,抗セントロメア抗体も陽性であった.さらに血液生学的検査では,高度の閉塞性肝機能障害を呈していたが,自覚症状では全身倦怠感,〓痒感,黄疸はなく,予後良好の1例と考えられた.本研究所で経験した本抗体陽性の15症例を呈示し,臨床的特徴について考案した.
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