日本臨床免疫学会会誌
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内因性・外因性TNF療法のリンパ球亜群に及ぼす影響
TNF-S投与後のCD8陽性DAF陰性T細胞の減少に関する検討
渕野 泰秀篠原 貫之岡田 則子冨田 昌良梅野 寿実池田 靖洋岡田 秀親
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1993 年 16 巻 3 号 p. 227-235

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抄録
Recombinant TNF-SAM2(以下TNF-S)投与による感作を行った3時間後にOK-432を投与すると,体内でTNF産生が高まることを利用した治療法(内因性・外因性TNF療法: EET療法)で進行再発大腸癌の治療を試みている.このEET療法を行った癌患者について,末梢血白血球像およびリンパ球亜群(特にCD 8陽性DAF陰性T細胞)の変化を解析した.桿状核球はprimerとしてのTNF-S投与後著明に増加し, triggerとしてのOK-432投与後更に増加した.一方白血球,リンパ球,単球, CD 16陽性細胞, CD 8陽性CD 11 b陽性T細胞およびCD 8陽性DAF陰性T細胞はTNF-S投与後いったん減少し, OK-432投与後増加し前値に復すという傾向を示した.またCD 4/CD 8比はTNF-S投与後より高く維持されていた.特にわれわれが活性化T細胞として注目しているCD 8陽性DAF陰性T細胞は, TNF投与直後より著減し, 60分後には3%以下となった.末梢血リンパ球をTNF-S存在下に培養したり, TNF-S投与前の末梢血リンパ球を投与後60分の非働化自己血清存在下に培養しても, CD 8陽性DAF陰性T細胞は変動をみせず, TNF-S自身やTNF投与後血清などには直接Tリンパ球上のDAF発現を抑制する活性は認められないと考えられた. TNF-S投与により一過性に末梢血内で減少する各免疫担当細胞は,いったん腫瘍局所,網内系臓器あるいは血管内皮などに補足されると推察された.
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