日本臨床免疫学会会誌
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急性骨髄性白血病寛解導入中に発症したtoxic shock syndromeの1例:急性期炎症性サイトカイン値の変動
丹生 龍太郎谷内江 昭宏榊原 方枝太田 和秀関 秀俊宮脇 利男谷口 昂
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1993 年 16 巻 5 号 p. 376-382

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抄録
Toxic shock syndrome(TSS)は,ブドウ球菌外毒素産生が誘因となり発症,高熱や多臓器障害を特徴とする重篤な疾患である.ブドウ球菌外毒素はスーパー抗原としてT細胞に作用,活性化,さらに種々のサイトカイン産生を誘導,これらのサイトカインがTSSの病態形成に重要な役割を果たすことが示唆されている.われわれは白血病の寛解導入中にTSSを発症した1例を経験し,炎症性サイトカインの動態について検討した.患児は化学療法導入後間もなくから,発熱,意識障害,肝腎機能低下,循環不全,全身紅斑を認め,回復期に特徴的な皮膚剥脱が観察された.急性期に炎症性サイトカインであるTNF-α, IL-1β, IL-6の高値に加え, IFN-γの著増が認められ,これらの値は症状の改善とともに急速に正常化した. TSSの発症には炎症性サイトカイン,特にIFN-γをはじめとするT細胞由来サイトカインの過剰産生が重要な役割を果たしていることが示された.
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