日本臨床免疫学会会誌
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16 巻, 5 号
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  • 平野 隆雄, 高井 修平, 牛山 千冬
    1993 年 16 巻 5 号 p. 329-337
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 敏雄, 中澤 眞平, 森 泰二郎, 木下 明俊, 岡崎 敏子, 清藤 勉
    1993 年 16 巻 5 号 p. 338-346
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    T細胞型急性リンパ性白血病患者末梢血からT細胞株KOPT-5を樹立し,そのIL-2活性産生能を検討した. KOPT-5は, CD 1 (-), CD 2 (+), CD 3 (+), CD 4 (-), CD 5 (+), CD 7 (+), CD 8 (-)で, PMAによりマクロファージ様に分化させたHL-60とPHA存在下に混合培養するとIL-2活性を産生した. KOPT-5によるIL-2活性の産生は,マクロファージ様に分化させたHL-60との混合培養のみでは得られず,また,分化させないHL-60とPHA存在下に混合培養しても得られなかった. KOPT-5をPMAとPHAとで同時に刺激すると,少量のIL-2活性の産生が認められたが, PHAとIL-1による同時刺激ではIL-2活性の産生は全く認められなかった. T細胞の活性化にかかわる種々の因子,特にマクロファージの影響を解析するうえで, KOPT-5は有用なモデルになると考えられる.
  • 杉本 正毅
    1993 年 16 巻 5 号 p. 347-354
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    精製ヒストンおよび各ヒストン亜分画を抗原とするELISAを用いて,各種膠原病患者の抗ヒストン抗体を測定した.任意に選んだSLE 140例, RA 45例, MCTD 34例, PM/DM 30例, PSS 30例,計279例の膠原病患者を対象とした. total histoneに対する陽性率はSLE 35.7%, RA 8.9%, MCTD 17.6%, PM/DM 16.7%, PSS 30.0%で, SLE, PSSがRAより有意に高率であった(p<0.005, p<0.05).各亜分画別の検討では, SLEはH 1とH 2 Bに対する陽性率が, PSSはH 3とH 4に対する陽性率が他の分画に比較し相対的に高い傾向が認められた. SLEではH 1に対する陽性率がMCTDより有意に高かった(p<0.01).個々の血清の反応様式を比較すると, SLE, MCTD, PSSでは同一の血清が多数の亜分画と反応するのに対し, RA, PM/DMは主に単一の亜分画のみと反応する傾向が認められた.以上の結果は亜分画別の抗ヒストン抗体の測定がMCTDやSLEの鑑別に有用であることを示唆する所見として注目された.
  • 鈴木 厚, 松岡 康夫, 入交 昭一郎
    1993 年 16 巻 5 号 p. 355-360
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    新しく開発された高親和性抗DNA抗体測定キットであるリコンビジェン抗DNA Hi-Aキット(Hi-A法)について検討した.対象は従来の抗DNA抗体測定キットであるリコンビジェン抗DNA測定キット(従来法)で抗体価が20U/ml以上を示した33症例である. Hi-Aキットの再現性は,測定内,測定間,ロット間ともに良好な値を示した.全身性エリテマトーデス(SLE) 29例の高親和性抗DNA抗体価は,非活動期SLE (14例)ではほぼ正常値であるのに対し,活動期SLE (15例)では高値を示す症例を多く認めた.従来法で抗DNA抗体価が高値を示す非SLE 4例の高親和性抗DNA抗体価は低値であった.以上より, Hi-Aキットは従来法に比較しSLE疾患特異性が高く,また活動期SLEの症例に結合率高値例を多く認めたことよりSLEの診断および活動性の指標として有用と考えられた.
  • 中村 彰, 下田 勝広, 斉藤 貴生, 小林 迪夫
    1993 年 16 巻 5 号 p. 361-369
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    癌性腹膜炎治療への応用を目的として,マウスの腹腔内にLAK細胞を誘導することを試みた. OK-432とrlL-2を腹腔内投与しその抗腫瘍効果を経時的に調べた. OK-4321KEを腹腔内投与後, 5日目にasGM1陽性細胞の著明な増加を認めた.この時期にrIL-2を5×104U腹腔内投与し,翌日腹腔滲出細胞のLAK活性を測定したところ, OK-432単独群の35.2%に対して64.8%と著明な増強を示した.さらに, rIL-2投与時に抗asGM1抗体を腹腔内投与すると,このLAK活性の増強効果は消失したことより, OK-432投与でasGM1陽性LAK前駆細胞が誘導され,これにrIL-2を投与することでin vivoでLAK細胞が誘導されたものと考えられた.また,腹水型の担癌マウスにおける同様の併用投与でも腹腔滲出細胞のLAK活性の増強効果および有意な延命効果を認めた.以上よりOK-432とrIL-2の併用投与の有効性および癌性腹膜炎への臨床応用の可能性が示唆された.
  • 加藤 和彦, 多田 芳史, 真弓 武仁, 山内 保生, 大塚 毅, 佐藤 浩信, 中村 稔, 長沢 浩平, 仁保 喜之
    1993 年 16 巻 5 号 p. 370-375
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性.主訴は発熱,腹痛,左橈骨動脈の脈なし.平成元年4月当科入院時,口腔内アフタ,陰部潰瘍,結節性紅斑,虹彩毛様体炎を認め,ベーチェット病と診断.インドメタシン,ステロイド外用剤で症状は軽減した.退院後も症状は動揺したが,平成元年9月,慢性扁桃炎に対し,両側扁桃摘出術を施行.平成2年5月頃より発熱,腹痛,橈骨動脈の脈なし症状が出現し,当科再入院となった.眼・粘膜・皮膚症状はなく,左橈骨動脈にて脈の減弱を認めた.血沈119mm/時, CRP 7.2mg/dl. digital subtraction angiographyにて左鎖骨下動脈の狭窄を認め,血管型ベーチェット病と診断.プレドニゾロン40mg/日投与で腹痛は消失し,炎症所見も改善した.本症例は4主症状消失後に血管病変のみが出現しており,扁桃摘出術による病態の変化が示唆される興味深い1例である.
  • 丹生 龍太郎, 谷内江 昭宏, 榊原 方枝, 太田 和秀, 関 秀俊, 宮脇 利男, 谷口 昂
    1993 年 16 巻 5 号 p. 376-382
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Toxic shock syndrome(TSS)は,ブドウ球菌外毒素産生が誘因となり発症,高熱や多臓器障害を特徴とする重篤な疾患である.ブドウ球菌外毒素はスーパー抗原としてT細胞に作用,活性化,さらに種々のサイトカイン産生を誘導,これらのサイトカインがTSSの病態形成に重要な役割を果たすことが示唆されている.われわれは白血病の寛解導入中にTSSを発症した1例を経験し,炎症性サイトカインの動態について検討した.患児は化学療法導入後間もなくから,発熱,意識障害,肝腎機能低下,循環不全,全身紅斑を認め,回復期に特徴的な皮膚剥脱が観察された.急性期に炎症性サイトカインであるTNF-α, IL-1β, IL-6の高値に加え, IFN-γの著増が認められ,これらの値は症状の改善とともに急速に正常化した. TSSの発症には炎症性サイトカイン,特にIFN-γをはじめとするT細胞由来サイトカインの過剰産生が重要な役割を果たしていることが示された.
  • 田口 純子, 小林 茂人, 梁 承郁, 平野 隆雄, 駒田 敏之, 佐藤 信紘, 橋本 博史, 廣瀬 俊一
    1993 年 16 巻 5 号 p. 383-387
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    著明な白血球増加を示した食道癌患者の癌組織からG-CSF産生を証明した.
    症例は62歳男性で,食道癌と診断され,末梢血でWBC 35,400/mm3と増加していた.諸検査から感染症,血液疾患,癌の骨髄転移は否定されG-CSF産生腫瘍の存在が疑われた.血清中のG-CSF測定では検出することはできなかったが,癌組織の培養液中より多量のG-CSFが検出され,また腫瘍切除後,白血球数が正常化したことからも,本症例がG-CSF産生食道癌であることが証明された.
    いままでに,白血球増多と高Ca血症を示した食道癌で, G-CSF産生の疑われた症例は報告されているが,血清や組織からの証明はなされておらず,興味深い症例と思われた.
  • 中村 稔, 木下 勝, 土屋 喜裕, 野中 久代, 衛籐 孝, 大島 道雄, 大久保 英雄, 杉本 卓矢, 遠城寺 宗知
    1993 年 16 巻 5 号 p. 388-396
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性皮膚硬化症(PSS)と多発性筋炎(PM)のoverlap症候群に糞線虫過剰感染症候群を合併した症例を報告する.症例は68歳男性で,昭和53年ころより全身の筋力低下,レイノー現症が出現,昭和57年ころより37~38°Cの発熱,皮膚に落屑を伴う紅斑が出現.昭和62年3月,当院皮膚科にて紅皮症と診断されprednisolone(5mg/day)の投与を受けていたが,同年12月全身倦怠感が増悪し当科に入院.入院時,全身の皮膚硬化・色素沈着・筋肉の萎縮・筋力低下が著明で,末梢血に著明な好酸球増加を認めた.また,筋原性酵素の上昇,抗核抗体強陽性,著明な高IgE血症を認め,皮膚および筋生検より多発性筋炎(PM)と全身性皮膚硬化症(PSS)のoverlap症候群と診断された. prednisoloneを60mg/dayに増量し治療を開始したが,腹痛,下痢・咳・血痰などの症状が出現した後,急激に貧血,意識レベルの低下をきたし死亡した.剖検にて,全腸管にびらん・潰瘍・多量の出血を認め,粘膜内にF型糞線虫の幼虫を多数認めた.肺は左右ともにびまん性の大出血を認め,肺胞内にも糞線虫の虫体を多数認めた.肝臓,膵臓,腸間膜リンパ節などにも多数の糞線虫を認め,糞線虫過剰感染症候群と診断された.近年,免疫能の低下した症例に日和見感染症として糞線虫過剰感染症候群が合併することが注目されているが,膠原病の治療中に糞線虫過剰感染症候群を合併したとの報告はきわめてまれであり,今後このような症例に十分留意する必要がある.
  • 田中 光彦, 高井 修平, 小林 茂人, 松本 朋子, 須藤 一, 戸叶 嘉明, 安田 勝彦, 橋本 博史, 廣瀬 俊一
    1993 年 16 巻 5 号 p. 397-402
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は, 47歳の女性で顔面から胸部にいたる皮下硬結と発赤を主訴に入院となった.検査成績では抗核抗体陽性以外大きな異常を認めず,皮膚生検による組織所見として真皮層に毛細血管拡張,血管周囲にリンパ球を中心とした小円形細胞の浸潤.皮下組織隔壁にも小円形細胞の浸潤,表皮真皮境界部に免疫グロブリンの沈着を認めlupus erythematosus profundusと診断し,ステロイド剤投与にて皮膚症状の改善を認めた.
  • 大久保 英雄, 島村 隆二, 土屋 喜裕
    1993 年 16 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    50歳の女性に何ら誘因なく食欲不振,泥状便などの消化器症状と,低アルブミン血症,低K血症に基づく胸・腹水貯溜,筋障害などの臨床症状が出現した.画像上は食道,胃,小腸の高度の浮腫がみられ,機能的には吸収障害が証明され,免疫学的には抗核抗体,抗DNA抗体が陽性であった. SLEやPSSに吸収不全症状を伴うことは報告されているが,本症例の臨床像からはSLEあるいはclassicalな膠原病とは考え難い.しかし,高γ-グロブリン血症も伴っており, steroidが著効を呈したことから,消化管の浮腫をきたした病態には自己免疫的な機序の関与が推定される.
    なお,骨髄吸引標本中に, γ-グロブリンの産生亢進を示唆する空胞を有する形質細胞と,吸収不全による脂質代謝障害を示すと思われるsea-blue histiocyteがみられた.
  • 渥美 達也, 藤咲 淳, 小椋 庸隆, 天崎 吉晴, 大西 勝憲, 佐川 昭, 小池 隆夫
    1993 年 16 巻 5 号 p. 409-414
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膠原病に伴うレイノー症状は単なるvasospasmではなく,基盤に器質的変化による末梢循環障害が存在していることが考えられている.したがって難治性の手指潰瘍や指切断をきたすこともあり,これまでにも抗血小板剤や血管拡張剤が使用されてきた.今回,強力な抗血小板作用および末梢血管拡張作用を併せもつ経口プロスタサイクリン製剤であるberaprost sodium (BPS)を,レイノー症状を呈する膠原病患者15例に投与し,サーモグラフィーを用いた冷水負荷試験で手指表面温度の変化を詳細に検討した.方法は15°Cの冷水に30秒間手指を浸し,その後15分間の手指表面温度をサーモグラフィーで観察した. BPSは60~120μg/日を6~12週投与し,再度冷水負荷試験を施行して投与前と比較した.その結果, BPS投与後は手指表面温度,冷水負荷による手指温度の回復,手指末端と基節部との温度差のいずれも投与前に比べ有意に改善しており,膠原病のレイノー現象の基盤に存在している末梢循環障害に対するBPSの効果が確かめられた.
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