1994 年 17 巻 2 号 p. 121-127
症例は, 36歳,女性.平成3年3月, 39°Cの発熱を主訴に近医に入院.全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され同年4月よりprednisolone 60mg/dayの治療が開始されたがステロイド減量困難のため,平成3年10月7日当科に入院した.入院時hemophagocytic syndromeによる播種性血管内凝固症候群(DIC)の状態であったが呼吸器症状はなく,胸部X線像も正常であった. 10月9日より38°C以上の発熱が続き10月11日より咳嗽も出現するようになり,左肺上葉中心の大葉性肺炎が急速に進行したが, erythromycinが著効した.血清抗体価測定よりLegionella bozemanii肺炎と診断した.また尿中よりcytomegalovirus (CMV)を検出しganciclovirを使用したところ, hemophagocytosisおよびDICは改善した.本症例はCMV感染によるinfection-associated hemophagocytic syndromeを発症したSLEに,レジオネラ症でもまれなL. bozemanii肺炎を合併した1例で,免疫能低下の関与が示唆された.