1994 年 17 巻 5 号 p. 601-609
無症候性原発性胆汁性肝硬変, 3つのM蛋白血症,変形性関節症を合併したSjögren症候群の1例を報告する. 69歳,女性.約20年前より肘関節,手関節の腫脹を認め,平成2年9月本院入院.時に口腔内乾燥感を自覚.皮膚掻痒感なし.両手指関節にヘバーデン結節を認めた.乾燥性角結膜炎を認めた. GOT, GPT, ALP, LAPの増加を認めた. RAテスト(+),抗核抗体×40 (homogenous),抗ミトコンドリア抗体×80,抗平滑筋抗体(-), IgG 1,755mg/dl, IgA 2,134mg/dl, IgM 200mg/dl.血清蛋白分画にてγ領域にMピークを認め,免疫電気泳動法にてIgA (κ) (λ).尿B-J蛋白(-).免疫固定法にてIgAκ, IgAλ, IgGλ,尿B-J蛋白(-).骨髄形質細胞9.6%.ガム試験9ml/10分.唾液腺造影ではRubin-Holt分類stage II.下口唇生検ではGreenspan's focus分類grade I.肝生検ではSheuer分類PBC stage IIであった.これらは共通の免疫異常が背景にあり,発症したものと考えられ,興味深い.