日本臨床免疫学会会誌
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発熱が初発症状と考えられた若年発症原発性シェーグレン症候群の1例
貞松 研二中村 稔一瀬 一郎篠原 正徳中村 誠司長沢 浩平仁保 喜之
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1994 年 17 巻 5 号 p. 593-599

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抄録
発熱を初発症状とし, 16歳で発症したと考えられるシェーグレン症候群の1例を報告する. 1990年に2回, 38~39°Cの発熱が出現し,近医に入院.抗核抗体が陽性のため,当科を紹介され, UCTD(分類不能膠原病)として,無治療で経過観察されていた.ストレスのかかる時期に軽度の発熱を認める以外は,自覚症状はなかった. 1992年2月に再び発熱,関節痛を認め,近医に入院. Prednisolone 30mg/日を投与され解熱したが,精査目的にて当科入院となった.入院時には,すでに自覚症状は軽快しており,また唾液腺腫脹の既往や乾燥症状などの腺症状は認めなかったが,血液検査で,抗SS-A,抗SS-B抗体が陽性であったため,唾液腺造影,口唇腺生検を施行したところシェーグレン症候群に典型的な所見が得られた. 16歳時の血清中にも,抗SS-A/抗SS-B抗体が検出され,当時すでにシェーグレン症候群に合致する免疫異常を呈していたと思われた.発熱を契機とし, 16歳という若年で発症したと考えられる成人型原発性シェーグレン症候群の報告は極めてまれである.今後,腺症状を認めない不明熱の症例に,抗SS-A/抗SS-B抗体の検索や唾液腺生検,唾液腺造影を積極的に施行することにより,本症例のような若年発症シェーグレン症候群の症例が増加するものと思われる.
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