日本臨床免疫学会会誌
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血液透析膜における補体の活性化
長宅 芳男天野 哲基和田 淳杉本 光川端 研治四方 賢一槇野 博史太田 善介
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1995 年 18 巻 2 号 p. 138-145

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抄録

3種類の透析膜〔再生セルロース(RC)膜,セルローストリアセテート(CTA)膜,ポリスルホン(PS)膜〕を使用した血液透析において,補体系の活性化と白血球減少, vitronectin (VN)の変動を観察した.
RC膜は他の膜に比して白血球減少, Bbの上昇, VNを結合したsoluble membrane attack complex (S-MAC)の上昇が有意で,強い補体alternative pathway (AP)の活性化が示唆された.特にS-MACの上昇は透析後長時間持続したが, VNの低下は一時的であったことより, VNレセプターを介する処理を免れたS-MACが長期に浮遊しているものと推察された.以上の所見からS-MACは透析膜を含めた種々の人工臓器の生体適合性判定の有用な指標となりうると考えられた.

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