日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
妊娠中毒症における自己抗体の存在とその意義
山本 樹生吉村 幸子下司 有美森 宏之
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 18 巻 2 号 p. 146-151

詳細
抄録

妊娠中毒症における自己抗体の存在とその意義について検討した. 38人の妊娠中毒症(うち19例は重症型)と対照として26例の正常妊婦の血清を採取した.抗ssDNAとds-DNA抗体の測定はenzyme linked immunosorbent assay (ELISA)によった.子宮内胎児発育遅延を合併した例については同時に抗カルジオリピン抗体,抗フォスファチジルセリン抗体などの抗リン脂質抗体をELISA法により測定した.抗dsDNA抗体は正常妊婦ではすべて陰性であった.妊娠中毒症では38例中1例に出現がみられた.また抗ssDNA抗体は38例中15例(39.4%)に陽性であった.抗ssDNA抗体の出現頻度は高血圧や蛋白尿などの症状が重症となるほど高くなり,軽症型では26.3%,重症型では52.6%が陽性であった.しかし,子宮内胎児発育遅延と抗ssDNA抗体の出現とには相関がみとめられず抗リン脂質抗体のほうが関連していた.
妊娠中毒症において自己抗体が高頻度に出現することが判明した.これより自己抗体を生ずるBリンパ球活性化が妊娠中毒症の病態に関連する可能性が推察された.

著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top