日本臨床免疫学会会誌
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Interleukin (IL)-10およびviral IL-10 (vIL-10)による単球/マクロファージ機能の抑制機構
根本 義章大塚 毅新納 宏昭空閑 聖治田中 洋輔中島 衡仁保 喜之
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1995 年 18 巻 2 号 p. 152-159

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抄録

ヒトおよびマウスの単球系細胞を用いて,それらの細胞機能に対するIL-10, vIL-10の効果を検討し,単球/マクロファージ活性化に対する両サイトカインの抑制効果について考察した.
human IL-10 (hIL-10)およびvlL-10はphytohaemagglutinin (PHA)刺激ヒト末梢血単核球のinterferon (IFN)-γ産生を抑制した.両サイトカインはヒト単球の活性酸素の構成的産生のみならず, IFN-γによるさらなる誘導的産生に対しても顕著な抑制効果を示した.また, mouse IL-10 (mIL-10)は, lipopolysaccharide (LPS)/IFN-γで誘導したマウス腹腔マクロファージの一酸化窒素(nitric oxide; NO)産生を抑制した.このような抑制効果はIL-4やtransforming growth factor-β (TGF-β)によるものとほぼ同等で,細胞の前処理時間を長くするほど増強された.
IL-10/vIL-10は炎症性サイトカイン産生の抑制作用に加え,このような単球/マクロファージから誘導されるエフェクター分子に対する産生抑制作用も有しており,生体防御機構におけるこのサイトカインの挙動は興味深い.

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