日本臨床免疫学会会誌
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胃癌組織におけるコラーゲンの免疫組織化学的検討
近藤 重弘金山 和広森瀬 公友
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1995 年 18 巻 2 号 p. 168-177

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抄録

胃癌組織におけるコラーゲンをTGFα, βとともに免疫組織化学的に染色し,腫瘍組織に浸潤するリンパ球とともに分化型癌,未分化型癌の組織型の違いについて検討した.胃癌の分化型癌の間質は,コラーゲンtype IおよびIIIが強く染色された.未分化型癌の間質ではtype I, IIIとともに, type IV, V, VI夏も,分化型癌に比し染色され,両組織型に差がみられた.胃癌間質のリンパ球集族部位におけるTリンパ球浸潤は,未分化型癌は分化型癌に比しCD 3陽性細胞数が増加し, CD 4/CD 8陽性細胞数比が有意に高かった. TGFαは分化型癌の癌細胞に,未分化型癌に比し高率に染色された. TGFβ1は未分化型癌の癌細胞に,分化型癌に比して有意に高い頻度で染色された.以上より,胃癌間質のコラーゲン,リンパ球集族部位におけるTリンパ球浸潤,および癌細胞におけるTGFα, TGFβ1の表出は分化型癌と未分化型癌では差がみられ,胃癌の分化型癌と未分化型癌ではコラーゲン産生の調節機構が異なることが示唆された.

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