日本臨床免疫学会会誌
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膀胱癌から回復した患者のNK活性およびLAK活性と,リンパ球サブセット由来のLAK細胞の特徴について
小松 文夫木原 和徳
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1995 年 18 巻 2 号 p. 197-206

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抄録

膀胱癌から回復した患者のNK活性およびLAK活性を測定した.この癌患は1980年に膀胱癌(transitional cell carcinoma)を指摘され,手術,放射線療法,化学療法を繰り返したが, 1987年以降は再発の兆候はなく現在はtumor freeの状態にある.最近NK活性およびLAK活性を測定したところ非常に高値を示し,また末梢血リンパ球中のCD16+は52.9%(対照17.5%), CD 4-CD 8-CD 16+は26.6%(対照12.1%)であった.すなわちこの患者が現在tumor freeの状態にあるのは極端なキラー活性の高値と関連すると推測された.本例はCD 4-CD 8-細胞を多く有していたのでCD 4-CD 8--LAKを誘導しその特徴をCD 8+-LAKと比較した. CD 4-CD 8--LAKはキラー活性が高く,長期培養でも活性は持続し,培養細胞に対する接着性も強かった.一方CD 8+-LAKはキラー活性はそれほど高くはなく培養2週間以上過ぎると速やかに低下した.ただし本例のCD 8+-LAKはMHC拘束性は証明されなかったが自己腫瘍細胞に対して対照より高いキラー活性を示しており,自己腫瘍細胞に特異性を示す細胞を有している可能性があった.本例のキラー活性の上昇した理由についてはいまだ明らかではない.

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