1995 年 18 巻 2 号 p. 188-196
抗ラ氏島抗体(ICA)を,ラット膵切片を用いた蛍光抗体間接法で検出し,その感度と特異性を検討した.ヒト膵法による検出も行い成績を比較した.対象はIDDM 58例(うち発症早期例17例), NIDDM 456例で,対照を健常者110例,自己免疫疾患50例とした.ラット膵法による検出の結果, IDDM 32例(55.2%), NIDDM 7例(1.5%),自己免疫疾患0例(0.0%),健常コントロール1例(0.9%)にICA陽性,発症3カ月未満のIDDMでは14/17(82.3%)の陽性率であった.ラット膵法とヒト膵法で検出したICA抗体価はほぼ同等であった.成績より,ラット膵法によるICAの検出は,感度82%,特異性99%以上と推定された.ラット膵法によるICAの検出は特異性が高く,感度も良好であり,抗原性が安定し,抗原の入手も容易であることより,有用な方法であると考えられた.