日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
抗Wa抗体を認めたシェーグレン症候群の1例
上田 章樋口 茂輝菊池 郁夫林 升前原 東洋宮地 清光
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 18 巻 2 号 p. 215-220

詳細
抄録

症例は42歳の女性.平成4年7月頃より両手指関節痛, 12月肩関節痛,背部痛,寒冷時のレイノー現象が出現.平成5年3月眼と口腔内の乾燥感が出現し,同年6月1日当科へ紹介.朝のこわばり30分.手指関節の疼痛腫脹,左肩関節および両膝関節に圧痛.皮膚に手指硬化および色素沈着等を認めず.検査成績では血沈20mm/hr, γグロブリン1.65g/dl, RAPA 320倍,抗核抗体1,280倍,抗SS-A抗体64倍および抗Wa抗体が陽性. Schirmer試験陽性,唾液腺造影所見および口唇唾液腺組織像よりシェーグレン症候群と診断した.
抗Wa抗体はtransfer RNA関連蛋白に対する自己抗体で,これまでに報告された抗Wa抗体陽性症例6例はすべて強皮症である. 6例中2例にシェーグレン症候群の合併を認めたが,本症例は強皮症以外では初めて抗Wa抗体を認めたシェーグレン症候群単独例であるため報告する.

著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top