日本臨床免疫学会会誌
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クリオグロブリン血症,腎性尿崩症,潜在性尿細管性アシドーシスを合併したシェーグレン症候群の1例
児浦 利哉西成田 進松川 吉博小林 達也島田 一武井 正美富田 康之馬場 真澄葉山 隆橋本 寿美子堀江 孝至
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1995 年 18 巻 2 号 p. 221-227

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抄録

症例は68歳,女性.約40年間,口腔乾燥を認め,耳鼻科での精査によりシェーグレン症候群の診断を得た.さらに多飲多尿,腓腹筋痛,下腿皮下出血が出現したため入院となった.入院時,汎血球減少,赤沈亢進, LDH高値,血清総蛋白高値,高ガンマグロブリン血症, IgG-κ型M蛋白,クリオグロブリン血症が認められた.また,フィッシュバーグテスト,バゾプレッシンテスト, NH4Cl負荷試験などの結果,腎性尿崩症,潜在性尿細管性アシドーシスの合併を認めた.入院後,血漿交換,プレドニン40mg/日の投与を開始したところ,血清総蛋白,ガンマグロブリンは低下し,出血症状は改善した.しかし,尿量,尿比重は改善しなかったため,サイクロフォスファミド大量療法(700mg/body)を行ったが,検査異常所見ならびに尿崩症の改善は認めなかった.本症例で認められた腎間質と糸球体の障害は,シェーグレン症候群とクリオグロブリンの両者によるものであると考えられた.

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