Felty症候群に認められる血小板減少は高度でなく,低補体血症も正常下限にとどまることが多いとされる.今回われわれは,高度の血小板減少と多彩な自己抗体の出現および著明な低補体血症を認めた症例を経験した.身体所見および検査成績よりシェーグレン症候群,悪性関節リウマチ,混合性結合織病は否定的であった. SLE改訂診断基準の2項目を満たしたのみであるが,高度の低補体血症の存在から今後SLEの病像が明瞭になる可能性が残った.治療的には少量ステロイド剤と同時に少量シクロスポリンA (CsA)を併用し,血小板の増加,低補体血症の改善と同時に,自己抗体力価の減少も認めた.このことは, CsAが抗血小板抗体を含めた自己抗体産生を抑制し,病状の改善に関与した可能性を示唆する.しかし,慢性関節リウマチの疾患活動性は, CsAによっても抑制されず,メソトレキサート少量療法の併用にて低下した.