1995 年 18 巻 2 号 p. 235-240
腎不全で発見されたIgG-κ型良性M蛋白血症を合併したIgD-λ型多発性骨髄腫(stageIIIb)の1症例を経験した.症例は76歳,男性.腰痛,胸部痛,腎機能障害のため入院となった.血清免疫グロブリン定量で, IgG 1,179mg/dl, IgD 1,160mg/dl, 血清免疫電気泳動でIgD-λ型とIgG-κ型の2種類のM蛋白を認め,骨髄検査では異型性をともなう形質細胞が著増(43%)していた. IgG-κ型は良性M蛋白血症と判断された. melphalan, prednisoloneによるMP間歌療法を施行したところ, IgD-λ型M蛋白は著減し,骨髄検査でも形質細胞の減少を認め部分寛解を得た.一方, IgG-κ型のM蛋白は一過性に増加したものの,ほとんど変化はなく, 2種類のM蛋白はMP間歌療法に対して異なった感受性を示した.