1995 年 18 巻 2 号 p. 247-255
慢性サイトメガロウイルス感染症を合併したcommon variable immunodeficiency(CVID)の8歳男児を経験した.発症時IgA欠損症と診断され,その4年後にその臨床像はCVIDに合致した.経過中,自己免疫性溶血性貧血,間質性肺炎,血球貧食症候群,慢性胃腸炎などのさまざまな合併症を認めた. 8歳時に大腸,肺,骨髄の生検組織でのPCR法によるサイトメガロウイルスのDNAが陽性となった.血液検査所見では, HLA-DR+CD 8+のT cellの増加に伴うCD 4/8の低下,リンパ球の絶対数の低下,各種刺激によるリンパ球幼若化反応の低下などの細胞性免疫の異常が認められた.以上より,慢性サイトメガロウイルス感染症を合併したCVIDと診断した.本症例は原因不明のCVIDにおけるサイトメガロウイルス感染症の役割について,示唆を与える症例と考えられた.